札幌−名古屋 前半、ドリブルする名古屋・藤本=28日、札幌厚別公園競技場で
|
 |
28日の札幌戦で痛い黒星を喫した名古屋グランパスから“脱クロス”の声が噴出した。圧倒的にボールを支配してサイドからセンタリングを上げ続けたものの、得点はコーナーキックからDF闘莉王が蹴り込んだ1点だけ。司令塔のMF藤本は「もっと工夫しないと」と新たな攻撃バリエーションを構築し、得点力アップをもくろんでいる。
ロスタイムの失点で最下位札幌に金星を献上した敗戦から一夜明け、グランパスは新千歳空港から重い足取りで名古屋へ戻った。
判定への抗議で退席処分を食らったストイコビッチ監督は「退席した身だから、私の話は重要じゃない。攻撃? 昨日何点取ったか思い返してみてくれ」と肩をすくめた。試合内容への不満は明らかだ。
支配率で圧倒しながら1得点にとどまった一因は、型にはまった攻撃。DF阿部は「攻めていても“本当のチャンス”は少ない」と言う。札幌にサイド攻撃を読まれ、クロスをことごとくはじき返された。GK高木も「やみくもにクロスを上げても…」と振り返った。
サイドからの崩しはグランパスの特長。1試合あたりのクロス数はJリーグでトップクラスの多さだ。近年は高精度のクロスと長身FWケネディの組み合わせで得点を量産してきたが、今季はケネディの不調もあってパスを放り込んでも得点につながらない。玉田と永井の両ドリブラーの不在も、攻撃をいっそう単調にしている。
札幌戦では果敢なロングシュートでゴールを脅かした藤本は「相手が引いて守っていたから、あそこが空いた。(中盤の)オレたちがもっと工夫をしないと」と遠めからのシュートやワンツーを交えた、多彩な攻撃の必要性を訴えた。
最近の公式戦5試合の得点はわずか「5」。得点増のカギは“クロス頼み”からの脱却にある。
この記事を印刷する