シーラカンスと海のゴミ
アクアマリンふくしまの一階にあるシーラカンスの企画展示ルーム「シーラカンスの世界」
このコーナーの最後には、シーラカンス調査の最新情報が紹介されています。
本日、こんな写真が掲示されていました。
ニュース等で知っている人もいるかと思いますが、シーラカンスの調査でインドネシアに行っているスタッフが、現地のシーラカンスの冷凍標本を解剖した結果、胃袋からポテトチップスの袋を発見しました。
今回のシーラカンスは2011年7月21日に捕獲され、冷凍保管されていましたが、インドネシアの電力事情から停電することもたびたび有り、標本の状態が悪くなることが懸念されたため、この度、アクアマリンふくしまのスタッフとサムラトランギ大学のスタッフで解剖とホルマリン固定を行いました。
現地のスタッフが館内用機関誌に、こんな話を載せていたのでご紹介。
<インドネシアのゴミ>
毎回調査の度にインドネシアの調査地点であるマナド湾内のゴミの多さが気になっていました。中層ではポリ袋が流れていますし、水深300m でもビニール袋を見かけます。先日ついにシーラカンスのおなかの中からもゴミが出てきました。食べていたのはインドネシアでは人気のポテトチップスの袋でした。海底の水流に流されているものに反応したのでしょう。いろいろな味があるのですが、今回のものはのり風味でした。試しに食べてみましたが、味はなかなかおいしかったです。こんなにおいしいんだから後始末まできちんとしようよ、と言いたくなります。こちらでは結構話題にはなっていますので、これを機会に少しゴミが減ることを願い、各方面にいろいろと働きかけをしているところです。 今回のことが切っ掛けになって、インドネシアの環境保全に繋がれば良いと思います。
日本には日本動物園水族館協会というのがありますが、実は世界動物園水族館協会というのもあります。
世界中の250園館以上の動物園水族館が加盟しています。
現在、日本の動物園水族館で加盟しているのは
上野動物園
多摩動物園
よこはま動物園ズーラシア
名古屋港水族館
海遊館
そして、アクアマリンふくしま だけです。
正直、もう少し加盟園館があっても良さそうなんですけどね〜。
アクアマリンふくしまは日本だけでなく、世界にも目を向けた環境保全活動を行っていきたいと考えています。
さて、このシーラカンスの記事を見て思い出したのは、7年ほど前に乗ったサメの延縄漁。
ネズミザメというサメを採集する目的で11日間、一人で北海道沖の延縄船に乗ってました。
ネズミザメは冷水性のサメで親潮水槽に展示するのに適しています。
非常に展示が難しく、まだ世界でも水族館で展示できているところは無いんじゃないでしょうかね?
結局、このときは輸送可能な小さな個体(70-80㎝)を3個体採集できたのですが、私の腕の未熟さもあり、最長5日間しか生かせませんでした。
延縄船って結構ハードなんです。
11日間の平均睡眠時間4時間。それも、1,2時間おきの睡眠。
サメが生きている間はずっと見張り。
2週間で5kg痩せました(笑)。
このとき、指の骨も骨折してたなぁ〜(遠い目で…)
表面麻酔薬のキシロカインゼリー付けながら(←気休め)、頑張ってましたね。
まだ、若かった(笑)。
展示には結びつかなかったのですが、いつかリベンジしてみたいですね。
さて、前置きが長くなりましたが、延縄に掛かったネズミザメの中にこんな傷跡があるのが、たまにいます。
原因はこれ…
ちょっとスプラッタですが、頭にビニールの輪っかがはまっています。
結構、はまってから時間が経っているみたいで、輪っかが体に食い込んでいます。
これはなにかと言いますと…
餌のサンマなどの箱に使われる結束バンドです。
これが海に捨てられると、ネズミザメが輪っかをくぐって抜けなくなり、成長するとともに体に食い込んでいきます。
ネズミザメが輪っかをくぐるという習性があるのかも知れませんが、今回の漁では10個体ほど確認できました。
この現状を見たとき、この結束バンドが数年で分解できるような素材で作られないかなぁと思ってみました。
結束バンドメーカーさん、海水で分解する素材とかで、何とかなりませんかね?
さて、余談。
シーラカンスの胃袋の中にあった、ポテトチップスがなぜかアクアマリンに(笑)。
ほう、いろんな種類がありますね。
では、さっそく試食してみましょう。
うん?
味は日本のポテトチップスと大差ないですね。
というか、美味しい。
今回、見つかったのは、のりしお味。
でも、パッケージには「カッパ巻き」。
海苔はインドネシアでは寿司のイメージみたいですね(笑)。
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