地震当時の様子
地震発生時、館内にはお客様約100名、スタッフ約80名がいました。
お客様は全員、館外に避難していただき、無事に送り出すことができました。
残ったスタッフは被害状況の確認などを行っていましたが、津波警報が発令されたため、一時、館外の芝山に避難しました。
液状化の起こる水溜りを越え、芝山から海を見ると、海面はもう堤防を乗り越え、すぐ近くまで迫っていました。
沖合いを見ると、沖防波堤の向こうになにやら白い線が見えます。
さらに大きな津波が来る。
この芝山では駄目だ。
水族館の建物は丈夫で多少の余震ぐらいでは問題ないため館内3階に避難場所を変更しました。
館内3階には展望デッキがあり、そこから津波の様子を見ることができました。
津波は普段、越すこともない沖防波堤を易々と越えてきました。
第2波・第3波と徐々に津波の高さが増していきます。
駐車場のほうを見るとアクアマリンスタッフの車がすべて流されていますが、どうしようもありません。
引き波になり、津波の怖さを思い知りました。
大きなコンテナやトラックなどあらゆるものを海に引き込んでいきます。
海の底が見えるのではないかと思うぐらいです。
初めて生きたメヒカリを採集できた、思い出深い船でした。
海がある程度落ち着き、もう大丈夫だろうと1階にあるレストランに避難場所を移しました。
停電した暗い中、レストランスタッフが作ってくれたカレーやピラフを頬張りつつ、今後の対策を考えていました。
津波の被害状況を確認し、残っているボランティア、スタッフを帰宅させようとしていたときでした。
あたりがもう真っ暗な20時ごろ、一番大きな津波がやってきました。
ちょうど、一階の事務所の前にいた私は地鳴りのような音が聞こえていましたが、大丈夫だろうと、高をくくっていました。
といきなり、コンクリートの壁が破裂したかのように見え、同時に館内に海水が浸入してきました。
事務所内にいたスタッフ2名とともに、3階に移動した避難場所に急いで戻りました。
点呼を行い、スタッフの数を確認しましたが、館外の避難ルートの確認のため出かけていた4名のスタッフと連絡が取れません。
携帯電話が通じない中、ようやくメールにて生存を確認できました。
水族館正門にいた彼らは津波が来たため走って陸側に逃げたそうです。
間一髪のようでした。
このような状態ではスタッフを自宅に帰すことも危険と判断し、水族館で明るくなるまで避難することに決定しました。館内は停電のため、空調が止まり冷え込み、寒くて大変でした。
家族の安否確認には携帯電話が必須でしたが、バッテリーが切れ、使用できない人たちもたくさんいました。
充電器をかき集め、交代で充電しながら連絡を取り合っていました。
夜が開け、奇跡的に動いた水族館のバスでスタッフを自宅近くまで送り届けることができました。
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