鹿児島県奄美大島にカツオ採集に行ってきました。
アクアマリンふくしまの「潮目の海」大水槽のカツオは、黒潮の源流域に近い、奄美大島から輸送して展示しています。
震災の影響で大水槽の魚がすべて死んでしまってから、カツオの展示がまだできていません。
※数匹、小さいのは展示されています。
潮目の大水槽復活にはカツオは必要不可欠の魚です。
今回はそのカツオの採集に行ってきました。
夜も明けぬ午前2時、漁港を出港です。
2時間ほどかけて漁場に向かいます。
奄美大島の星空はとても綺麗で流れ星、流れまくり!
全部で1ダースも見ちゃいました。
夜が明ける午前5時頃から漁が始まります。
綺麗な夜明けでした。
ここしばらくで、こんなに天気の良い日はないと漁師さんが言ってました。
あれ?
メガネじゃないんじゃね?
と思われた方、するどい!
気合い入れて船に乗るときはコンタクトしてます。
昔、夜イカ釣り採集の時にイカじゃなく自分のメガネを釣って、海に放流してしまったことがありましたので…
船の照明を受けて、キラキラと海の底に沈んでいく自分のメガネを見るのはもうイヤです。
今回は一本釣りでカツオを釣ります。
釣った魚で生き残るの?ってときどき心配されますが、実は一番魚にダメージを与えない採集方法なんです。
網だと魚体全身が傷になってしまうのに対して、釣りだと釣針の所だけですみますから。
漁場に着くとカツオを寄せるため生きた小魚を撒きます。
今回はミズン(漁師さんはムジンって呼んでます)という、イワシのような魚です。
これはこれで水槽展示したいですね。
10分もかからないで船の下は魚でいっぱい。
集まってくるのは魚だけではありません。
オオミズナギドリです。
昔、保護したオオミズナギドリをしばらく飼ってたな〜。
結構なつくのでかわいいんです。
…が、漁師さんにとっては憎らしいヤツ。
折角、撒いた寄せ魚をぶんどりにきます。
ですから、寄せ魚を撒くのにも技量が必要です。
船に魚が付くと漁が開始。
最初はキハダ(マグロ)が入れ食いに!
漁師さん、えらい勢いで釣っていきます。
100匹、200匹なんかあっという間ですね。
今日はカツオがターゲットなので、カツオ採集としては、あまり、よい状況ではありません。
結局、最初のポイントではカツオがまったく釣れなかったので、ポイントを変えます。
すると、今度はカツオばっかり!
さすが漁師さん、潮の状況で何処で何が釣れるか把握していらっしゃるようです。
でも、最初に船の生け簀(カンコって呼んでます)に入れたのはキハダ。
なぜかというと、カツオよりキハダのほうが狭いところで泳ぐのが得意なので、キハダをあらかじめ入れておくとカツオもキハダと一緒に泳ぎ、狭い生け簀の中でもぶつかりにくくなるんです。
釣れた魚は生け簀の上に張った糸で針をはずします。
こうすると魚を触らなくてもいいので魚に与えるダメージが最小限になります。
結局、カツオ27尾、キハダ3尾(生け簀が3個あるから)を採集できました。
日の光の中、泳ぐカツオは青くて綺麗です。
アクアマリンふくしまの水槽は太陽の光が入るので、この綺麗な“青”を出せるんです。
魚本来が持っている色を見て頂けます。
再び2時間かけて島に戻り、湾内に張った大きな生け簀に採集したカツオを放します。
採集したカツオはすぐには輸送せず、しばらく生け簀で飼育します。
採集時に傷ついた傷を癒し、餌づけて、体力をつけさせます。
カツオの輸送は、じつはマグロよりも難しいんです。
マグロと違い、カツオは輸送トラックの水槽の壁などにぶつかると、エラから血を流しながら死んでしまいます。
この血がやっかいで、流れた血で水槽の水質が悪くなり、下手をすると輸送トラックの中で全滅してしまうのです。
ですから、生け簀でしばらく飼育し、狭い環境に順応させてから運びます。
採集を無事終えた、担当スタッフは疲れ切ってましたね。
なんせ、徹夜ですから。
お疲れ様。
今回、採集したカツオが大水槽で展示されるのは11月中旬ぐらいですかね?
アクアマリンふくしまの「潮目の海」の復活をご期待下さい。