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教育委員、反省の日々…大津・中2自殺

 大津市立中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺したとされる問題で、民間から同市の教育委員に就いた2人が読売新聞の取材に応じ、「我々も早くから適切に対処すべきだった」などと、十分な責任を果たせなかったことを悔やむ思いを打ち明けた。「ご意見番」「お客様」としばしば形骸化を指摘される教育委員だが、2人は「反省を踏まえ、何をすべきかをしっかりと考えたい」と語った。

 同市の教育委員は5人で、沢村憲次教育長を除く4人は民間人。月1回の会議などで方針を定め、市教委事務局に助言をしてきた。だが、男子生徒の自殺後の昨年11、12両月の会議では、委員から質問や意見はなかったことが、議事録で示されている。

 「会議では各委員から『再発防止策を考えよう』『その方向で頑張ろう』との発言はあった」。2008年から委員を務める医師・本郷吉洋さん(54)は取材に対し、こう弁解した上で、市教委事務局の対応に不信感を口にする。

 「当時、我々が報告を受けた内容と、最近の報道には大きなギャップがある」。全校アンケートで明らかになった様々ないじめ、学校が見逃した実態。知らなかったことがあまりにも多いことに当惑したという。

 「事務局が十分調査して説明したと信じていた。当初から問題に気付き、もっと突っ込んだ質問をして、真相解明につなげるべきだった」。いまは自戒を込めて、再発防止策について考えているという。

 一方、09年に就任した元小学校長・竹内孝子さん(64)は一連の問題発覚後、自問自答する毎日という。取材に「ずっと悩んでいます。何を言っても弁解になる気がする」と語る。

 いじめがあったことを事務局から聞いたのは全校アンケート後。「いじめの解消には保護者や地域の力も借りないと学校だけでは無理。だからこそ早く見つける必要があった」と悔やみ、市教委の調査が不十分との批判については「申し訳ない気持ちでいっぱいです」と謝罪を繰り返した。

 問題の真相を知り、早く再発防止に取り組みたいという。「悲しいが、学校と市教委も真摯(しんし)に反省をしてやっていくしかない。生徒たちに何をどうできるか。それを考えています」

 大津市の教育委員の対応については、大阪市の橋下徹市長が今月12日、「責任者として失格。教育委員会制度のウミ中のウミだ」と批判した。この発言について、2人は取材に対し「答えたくない」などと言及を避けた。

教育委員 教育の政治的中立性を確保し、地域に応じた教育の方針や計画を決めるために、都道府県や市町村に置かれている教育委員会のメンバー。首長が議会の同意を得て任命し、任期は4年。委員長、教育長は委員から互選される。

2012年7月16日  読売新聞)
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