国会事故調がSPEEDIの限界指摘、モニタリング強化を提言 (1/3ページ)

2012.7.5 21:55

東京電力福島第1原発事故を検証する国会の事故調査委員会で報告書を提出した後、記者会見する黒川清委員長(右から5人目)ら=5日午後、参院議員会館(松本健吾撮影)

東京電力福島第1原発事故を検証する国会の事故調査委員会で報告書を提出した後、記者会見する黒川清委員長(右から5人目)ら=5日午後、参院議員会館(松本健吾撮影)【拡大】

  • 東京電力福島第1原発事故を検証する国会の事故調査委員会で報告書を提出した後、記者会見する黒川清委員長(右から2人目)ら=5日午後、参院議員会館(松本健吾撮影)
  • 報告書を提出し記者会見する国会事故調査委員会(右奥)=5日夜、参院議員会館

 5日公表された国会事故調の調査報告書。福島第1原発事故で住民の避難に使われずに問題視された放射性物質(放射能)の拡散予測システム「SPEEDI(スピーディ)」について、国会事故調は「初動の避難指示に活用することは困難」とし、代わりにモニタリングの強化を提言した。しかし、SPEEDIをめぐっては、今回の事故でも活用されていれば無用な被曝(ひばく)が防げたとする意見は根強く、国会事故調の提言には住民からも疑問の声が上がった。

 「避難区域の設定の根拠とすることができる正確性はない」。国会事故調の報告書は、政府が100億円以上をかけて構築したSPEEDIの有用性を真っ向から否定するものだった。

 国会事故調がそう判断した背景には、SPEEDIは事故で放出された放射能の種類や放出時間などのデータがなければ、正確な運用ができないというシステム上の限界がある。

 大規模事故では、放出源情報を正確に得ることは極めて困難となる。今回の事故でも放出源情報が得られなかったため、SPEEDIの活用は見送られた。

 曖昧な情報しか得られないSPEEDIに頼るよりも、多様な方法で放射線量を計測できるよう、モニタリングを強化すれば、避難にも生かせるというのが国会事故調の見解だ。

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