■児童に対する性犯罪は「近所のおじさん」だけではない
児童への性犯罪者を年齢ごとに分類した大検察庁(最高検察庁)による統計分析の結果も、未成年者や高齢者による性犯罪の深刻な実態を浮き彫りにしている。
この分析結果によると、性犯罪者の年齢層は40代が最も多く25%を占めた。しかし10代も22%に達し、40代とほぼ同じ割合だった。これに対し30代は16%、50代は14%で、60代以上は12%だった。
要するに「近所のおじさん」による性犯罪だけが深刻なのではなく、「近所のお兄さん」や「近所のおじいさん」も同じように警戒しなければならないというわけだ。
性犯罪は前科者による再犯率が他の犯罪に比べて非常に高い。昨年、性犯罪で検挙された2万189人のうち9115人が前科者で、再犯率は45.1%に達した。また性犯罪者の年齢層は徐々に広がっており、10代と50代・60代以上による犯行もかなりの割合で増加している。つまり今後も再犯率が高まる余地がいくらでもあることがわかる。
性犯罪を予防するには処罰も重要だが、専門家は「教育など事前の予防の方がさらに重要」と指摘する。児童に対する性犯罪者は白昼に家に一人でいる子や、公園などで一人で遊ぶ子を狙いやすい。
2010年には児童に対する性犯罪が1175件発生したが、その中で、発生した時間帯が明らかになった866件のうち454件(51.2%)が昼の12時から午後6時の間だった。性犯罪者は昼間に親が仕事に出ている子どもに目を付け、子どもたちの下校時間を狙っているのだ。
専門家も「児童への性犯罪者は、子どもたちが学校から家に帰る時間帯をよく狙う。また公園で待ち伏せし、子どもが1人で遊んでいることを確認してから接近することも多い」「昼間は夜よりもずっと危険だ」と指摘する。
このような現状の中でも、共稼ぎ世帯の親たちは子どもに「知らないおじさんに絶対についていかないように」と言い聞かせる以外に対応の施しようがない。専門家の間では「国や社会がこれらの問題解決に取り組むことこそが真の福祉だ」との声も相次いでいる。