「山中貞雄の映画作品」DVD
■はじめて観た山中貞雄作品は「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」。
「丹下左膳」としては異色のコメディ調のこの作品、時代劇にも関わらず、セリフが現代風で今観てもまったく古くさく感じません。
左膳が矢場の女将(喜代三という女優さんが演じています。もともと歌い手さんみたいですが、すごく綺麗です。)のヒモみたいに設定されていて、預かった子供を口では邪険にしているものの、本当は親バカみたいに可愛がっている二人のやりとりがいい感じです。
現在、作品として観る事が出来る山中作品は「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」「河内山宗俊」「人情紙風船」の3本のみ。3本ともDVD化されています。しかし、すべて戦後に公開されたバージョンなので、初公開のものからカットされた場面があるそうです。
1938年に、召集された中国戦線にてわずか28歳で戦病死したこの夭折の映画監督、1909年生まれという事なので今年生誕100周年。関連イベントが開催されるかもしれませんし、テレビで作品を観る機会もあるかもしれません。
今の所、3本しか観る事が出来ませんが、ロシアなどから戦前の日本映画が発見される事があったように、山中作品も世界のどこか、また日本のどこかで発見されるのを静かに待っているかもしれません。
なお、映画監督の加藤泰は山中貞雄の甥だそうです。
※画像上から:
(1)「山中貞雄 日活作品集」
「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」と「河内山宗俊」を収めたDVD-BOX。
「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」には幻の場面として長らく失われていたクライマックでの大河内伝次郎の立ち回りシーンを20秒程収録。このシーンは戦後にGHQの検閲により“人斬りは野蛮”という理由でカットされたとの事。西部劇などで拳銃により人を殺すのはいいのか?勝手な理由です。
「河内山宗俊」にはもはや作品としては残っていない「磯の源太 抱寝の長脇差」と「怪盗白頭巾」の断片が収録。ただし、20秒、70秒程です。
(2)「人情紙風船」
山中貞雄の遺作。出征前に「これが最後の作品になるのでは死んでも死にきれない」と語ったそうで、暗く悲しい物語ですが、私は大好きな作品です。出演者の中村翫右衛門と河原崎長十郎は「前進座」を創立した方たちとの事ですが、私には全く馴染みがありません。長十郎の息子、河原崎長一郎はよくドラマなどに出ていたので、知っていますが。あとこの作品には加東大介が市川莚司という芸名で出演しています。
私のおすすめ:
山中貞雄日活作品集 DVD-BOX
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