東日本大震災:復興計画、住民と隔たり…名取・閖上地区
毎日新聞 2012年07月22日 20時58分(最終更新 07月23日 00時19分)
市は復興計画で現地再建を打ち出したが、2〜5月の調査では被災者の約4割は内陸移転を希望。情報紙を通じてアンケートを実施すると、72%が市の計画区域外への移転を求めた。既に閖上以外に土地やマンションを購入した人も12・7%いた。
内陸の借り上げ住宅に避難中の格井さんの長女(12)は、津波を見て以降、閖上に来ても車から降りられなくなっていた。格井さんは市の計画に関係なく、一度閖上を離れるつもりだ。それでも「閖上は特別な場所。10年したら、やっぱり戻ってきたいよね」と笑う。古里を、また夏草が覆い始めている。【金森崇之】
◇閖上地区復興計画◇
名取市の計画は、有識者らが昨年に提言した防潮堤と土地のかさ上げを組み合わせた「多重防御」で津波を防ぐ現地再建策に沿って策定された。国は再建策として、街ごと移転する「防災集団移転促進」、現地再建が中心の「土地区画整理」などの事業を提示しているが、地域ぐるみの指定が基本で、制度的な障害が多い。