東日本大震災:復興計画、住民と隔たり…名取・閖上地区
毎日新聞 2012年07月22日 20時58分(最終更新 07月23日 00時19分)
東日本大震災で900人以上が死亡・行方不明となった宮城県名取市。最も被害の大きかった閖上(ゆりあげ)地区について、市は防潮堤や土地のかさ上げによる現地再建を復興の中心に据える。しかし、被災者は津波への不安から、市の調査では約4割、住民の調査でも約7割が内陸移転を望んでいる。市と住民の思いの乖離(かいり)が進む中、震災は22日で発生から500日目を迎えた。
◇震災発生から500日目
「市は住民の目線に立っていない。なぜ私たちの意見を聞かないのか」。被災者らが作る月刊の情報紙「閖上復興だより」編集長の格井直光さん(53)はいらだちを隠さない。
両親を亡くした格井さん。かつて消防団員だった父善治郎さん(当時80歳)は、水門を閉めに行って流された。「父は町内会の役員も務め、リーダー的存在だった。でも、自分はまちのために何もやってこなかった」。その思いから震災後、まちづくり協議に奔走。情報紙を創刊した。