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なぜこうも頑なに取材を拒むのか。そこには学校の根深い隠蔽体質が潜んでいる。掲載した文書(右)を見てもらいたい。昨年、自殺から22日後の11月2日に市教委が作成した「市内中学校生徒の死亡事故に伴う調査について」という報告書には、9月以降、広樹くんが同級生らから「トイレや運動場で繰り返し殴られたり、嫌がらせを受けたりした」事実が明記されている。しかもそのすぐ下には、文科省が示す「『いじめの定義』に当てはまる」と書き込まれているのだ。
すでに11月の時点で、学校と市教委はいじめの可能性を十分に把握していたことになる。ところが学校側は、同月21日に始めた加害生徒らへの聞き取り調査を「保護者から拒否されたため」という理由で翌週には打ち切り、自殺の原因究明を放棄したのだ。
同様に、市議会の教育厚生常任委員会が12月13日に作成した「市内中学校生徒の死亡事故に伴う事案に係る経過報告等について」では、広樹くんが同級生らと「じゃれあったり」、「ふざけあったり」する場面が教師により確認され、教師が指導した旨が記されている。しかし、アンケート結果からも分かるように、その実態は「じゃれあい」などといったかわいらしいものではなく、広樹くんへの一方的な〝傷害〟行為なのである。
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それを把握しておきながら、あえて文書に「じゃれあい」と記載してお茶を濁していたのが〝現実〟なのだ。この報告書に当然目を通しているはずの越直美大津市長は、今年1月の就任時点でなぜすぐに対策を講じなかったのだろうか。7月6日の定例会見で謝罪し、涙を流しながら〝当時〟の市教委の調査や公表の方法を否定したが、就任早々に対策を講じていればここまで大きな問題にはならなかったはずである。
市側は7月17日に「いじめと自殺の因果関係は不明」という姿勢を撤回。同日に行われた、遺族が市や加害者などを訴えた訴訟の第2回口頭弁論の終了後、市長が改めて学校・市教委の調査が不十分だったことを認め、謝罪をした。
「市長は遺族との和解の方針を示しましたが、その日に行われた囲み取材であろうことか『実は、広樹くんは父親からDVを受けていた』と記者らに話したんです。自殺の原因はいじめだけではない、ということを言いたかったのでしょうが、あまりにも責任転嫁な感は拭えませんでした」(全国紙社会部デスク)
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