玄海原発:劣化の1号機 「33年まで健全」と保安院
毎日新聞 2012年07月27日 19時56分(最終更新 07月28日 00時37分)
九州電力玄海原発1号機(佐賀県、定期検査で停止中)の原子炉圧力容器が予想を上回り劣化していた問題で、経済産業省原子力安全・保安院は27日、現時点の劣化は異常なレベルではなく「2033年までは十分健全」との見解をまとめた。1975年に運転開始した1号機は、2033年まで運転すれば58年となる。政府は原発を原則40年で廃炉とする方針を決めているが、9月に発足予定の原子力規制委員会が再検討することが決まっており、今回の見解は論議に影響を与えそうだ。
保安院は昨年11月からこの問題を検討。27日開かれた専門家による意見聴取会で大筋了承を得た。
原子炉圧力容器は、核分裂反応で生じる中性子を浴び続けるともろくなる。劣化の程度を間接的に調べるため、各電力会社は圧力容器内に同じ材質の試験片を設置。定期検査の際に取り出して、劣化の程度を示す「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」などを調べる。この値が異常に高いと、事故の際の注水がきっかけで圧力容器が破損する恐れがある。