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【サッカー】

<目撃者>アトランタ五輪の“悲劇”繰り返さない

2012年7月29日 紙面から

 「マイアミの奇跡」が語られることはあっても、その後の「悲劇」に触れられることは少ない。いや、ほとんどないと言っていいかもしれない。

 「浮かれすぎても、ナーバスにもなっていない。(金星の後は)気が緩みそうになりがち。アトランタの話も聞こえてくる。油断していると足もとをすくわれるので、気を引き締めたい」

 問わず語りで、「アトランタ」と口にしたのは主将の吉田だった。

 1996年、アトランタ五輪1次リーグ初戦・日本−ブラジル戦。王国のたった1度のミスを突いた日本の劇勝はまさに「奇跡」のアップセットだった。だが、次のナイジェリア戦に敗れて暗転。3戦目のハンガリーには辛うじて勝ったが、得失点差で及ばず1次リーグで敗退した。

 五輪初戦、しかも相手はスペインだ。そこに大きなエネルギーとパワーを注ぎ込み、若きサムライたちは計り知れない果実を得た。「試合を見れば分かる」と徳永が言った通り、結果以上に内容で上回った必然の勝利。だから、決して「奇跡」ではない。ただ、相手が強ければ強いほど、とめどない達成感が湧き上がってくるもの。試合直後はどっぷり浸ればいいが、それを少しでも排除できずにピッチに立てば、そのまま針は逆に振れて危機の水位は上昇する。

 「(スペイン戦は)大きな勝利だとは思っていない。決勝までの6試合のうちの1つ。次に勝たないと意味がない。それは全員が分かっている」

 淡々とそう語ったのは、守護神の権田だ。技術、戦術を超えたところにある、強者のメンタリティー。そこに一点の曇りもないようだ。

 

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