インターネットの掲示板に会社を中傷する匿名の書き込みをされたとして、福井市のIT企業がプロバイダー(接続業者)の福井ケーブルテレビに対し、書き込んだ人物の住所、氏名などの個人情報開示を求める訴訟を26日までに福井地裁に起こした。
福井ケーブルテレビは「開示請求を受けるのは初めてで対応を協議している」とし、現時点では顧客保護の観点から開示に慎重な姿勢を示している。同様の訴訟では最高裁が2010年4月、静岡市の土木会社経営者らの訴えを認め、最高裁として初めて、プロバイダーの開示責任を認めている。
同IT企業によると11年11月、掲示板サイト「爆サイ.com」に、企業名を出して「ブラック企業」と書かれた。時期を前後して社内スタッフを中傷する文言、事実と異なる福利厚生制度を批判するものなど数十件の書き込みがされたという。いずれも匿名だった。
使用した端末を識別するIPアドレスの開示を東京地裁に申し立てたところ、掲示板サイトの運営会社が請求に応じ、プロバイダーが福井ケーブルテレビと分かった。書き込んだ人物に名誉棄損による損害賠償などを求めるため、個人情報開示請求に及んだ。
同IT企業が東京地裁に提起した別の訴訟では請求が認められ、大手プロバイダーから6月に個人情報の開示を受けたという。