1982年~1986年にテレビシリーズ化、全米で放送されて日本でも大人気を博した伝説の傑作カー・アクション作品、「ナイトライダー」が再始動! 時を経て、ファン待望の新シリーズ、「ナイトライダー ネクスト」として復活した。旧作の世界観を継承するとともに、進化&深化を遂げた新シリーズに参加した、おなじみキット役の野島昭生氏と、マイケル・ナイトの息子マイク・トレーサー役の丹沢晃之氏に、新章の魅力と声優業について聞いた。

■取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

キットの第一声を聞いて感動!! ファンゆえの楽しみ苦しみ、本音トーク!!

 ―― あの傑作海外ドラマが新シリーズで復活ですよね! 率直な感想はいかがですか?

野島:僕は20数年前にキット役を長いことやっていましたが、まさか20数年後にもう一度同じ役を演じることになるとは思ってもいなかったですね(笑)。今回新しく始まるという時に自分の声が大丈夫か気になって、年齢を重ねるとどうしても声が低くなったり、早くしゃべれなくなることがあるんですね。それはプロとしてはあってはならないことで、普段の努力が大切なのですが、最初に台本をもらって家で演じた時に、意外と高い声が出たのでホッとしました(笑)。昔の作品も何本か観て、感覚を取り戻していった感じですね。

丹沢:僕は初めての主役ということで緊張して、泣きそうになりながら初回の収録に挑みましたが、野島さん演じるキットの第一声を聞いて一気にほぐれた感じです(笑)。本当に昔から観ていて一番大好きな作品だったので、仕事として接する部分とファンとして接する部分を分けたい想いがありながらも、第一声を聞いて「ダメだ~!」って崩れました(笑)。

 ―― しかし、往年のファンとしては野島さんの再登板ほどうれしいことはないですよね。

丹沢:そうです! もちろんです! 台ナシにしてはいけないという重圧がありながらも、僕は旧作のマイケル・ナイトの息子役だったので、単純にストーリーの流れに乗れて比較的スンナリ世界に入れました。僕はファンなので詳細を覚えていることが多かったので、入りやすい分、演じにくいところもありましたが、それでも演じる上で助けになりました。

野島:この仕事は1本終わるとディテールは忘れていってしまうもので、そういう意味では大雑把には覚えているけれど、僕はほぼ忘れていましたよ(笑)。ただ、キットの性格や設定を苦労して開発したことは覚えていました。今回は車も新しくKNIGHT2000からマスタングのKNIGHT3000に変わったけれど、そういう意味では新しい作品であると同時に別物で、コンピューターは前のままみたいなイメージでしたかね。ただ、やり過ぎてはダメになってしまうと思ったので、最初から人間的にならないように気をつけて演じてはいましたね。

ヘンな日本語につられ、尺は気にしない――知られざる声優“あるある”!!

―― 基本的な質問ですが、日本人ではないキャラクターを演じる際のコツは何ですか?

丹沢:その点、僕は偉そうなことを言える立場にはいないですが(笑)、ただただ与えられたキャラクターに真摯に向き合って、僕なりの答えを持って現場に臨むことですかね。ディレクターさんのアドバイスを受けながら変化していく、という流れで演じてはいますね。

野島:そうだね。ディレクターやスタジオの中で一緒に共演する声優たちとの会話の中で、確かめ合いながら演じていますね。1人で練習している時は、あくまでも活字の中でのイメージなので、実際のテストや本番はまったく違います。「なるほど。そうくるか」「では、こう返そう」みたいな相乗作用でいいものが出来上がっていく。外国人は関係ないですね。

丹沢:ただ1点。カタコトの日本語が聞こえてくる時に合わせにくいことはありますね(笑)。

野島:あるある! その日本語が一番合わせにくいよねえ。引っ張られてしまうからね(笑)。

丹沢:英語の場合、僕は分からないので聞こえても平気ですが、意味がわかる分、大変で。

野島:英語はきっかけだけだからね。日本語は知っているからこそアテレコしにくいです。

―― オリジナルの音声が流れている中で日本語をアテレコしていっているわけですか?

丹沢:そうです。片耳のイヤホンで日本語も聞いているので、つられてしまうわけですね。

野島:テストの時から相手の声優さんの声も聴きながら演じているので慣れるまでは……。

丹沢:画とセリフのニュアンスで判断します。後は呼吸? キットは呼吸しないですが(笑)。

―― 声優の仕事って本当に職人芸ですね! 画と口を合わせる尺の問題もありますか?

野島:まさしくそうです。ただ、尺の問題は、最終的には我々はそれほど気にしていないですね(笑)。大事なことは芝居なので、結果的に早くなって短くなることは仕方がない(笑)。

丹沢:そうですよね。若い僕が言うことではないですが、面白味が特に大切ですものね(笑)。

声優業は1000人に2~3人の超難関!! 第一線で活躍を続ける秘訣とは!?

 ―― ところで声優業界の話題をしたいですが、昔と比べて現在の状況はいかがですか?

野島:声優もマシンも全体的に良くなっているとは思いますね。ただ、映画そのものテンポやスピードが速くなっていて、今のマシンが良くなっているので収録できるけれど、本当は大変な作業だということを言っておきたいかな(笑)。そういう意味で演じる人間のレベルも上がっているので、若手の声優も優れた人間が増えました。皆上手くなっています。

丹沢:僕は養成所や専門学校で「声優にはなれなくて当然」みたいなことを口酸っぱく言われていたので、目指している人間のレベルが上がった分、競争率も激化した感じですね。

野島:よく1000人に2~3人声優になれればいいほうって言いますね。大変な競争率です

丹沢:その上、この仕事だけで喰っていくことが大変です。なれた後でも、継続が大変ですね。そういう意味では僕は今バイトしていないので、ありがたい環境だなと思いますね。

野島:大変な世界なので良くないと出てこられない。だから出ている人はすごいですよね。

―― そう考えると、厳しい世界に身を置いて第一線で活躍する秘訣が気になりますね!

野島:その人の感性、キャラクター、運もあるでしょう。そういうモノが上手く絡み合った人が、生き残っていると思いますね。才能もいるでしょうね。パッと出てきても、続かないこともある。だから同じ世界にいる若い人を見ると、すごいなって僕でさえ思います。

丹沢:意外とコンプレックスが武器になることがありますよね。短所が長所になることがあって、僕の場合は完全にこの体格(笑)。たとえばアメリカなどでは、こういう体格の人って自己管理ができていないと評価されて、職業に就きにくいわけですよ。でも、この業界に関して言えば、響く声と評価を受ける。オペラ歌手みたいに太く通る声だって、逆に高い評価をいただけて武器になっていくことがあります。でもコンプレックスそのものは残っているので、そこにどう勝っていくか自分自身と格闘したことは一時ありました(笑)。

野島:それも必要なことだよね。考え方をちょっと変えるだけで、全然違ってくる。ただ、そのちょっとが、なかなかできないもの。それはどの社会、どの職業の人でも同じだと思うけれど、そのきっかけを手に入れた機会が、この仕事だったということだよね。さっきも言いましたが、プラス要素が複雑に絡み合っていることが活躍できる秘訣だと思います。

 

プロフィール
野島昭生(KNIGHT3000(キット) 役)

1945年生。東京都出身。日本の声優界の重鎮的存在で、「ナイトライダー」シリーズの人工知能キット役以外にも、「CSI: 科学捜査班」シリーズのギル・グリッソム役など、出演作多数。長男の野島裕史、次男の野島健児もともに声優として活動中で、親子共演も果たす。

■野島昭生 オフィシャルサイト:http://www.sigma7.co.jp/profile/m_26.html



丹沢晃之(マイク・トレーサー 役)

埼玉県出身。2005年、テレビアニメショーン「ケロロ軍曹」で声優デビュー。以後、「タユタマ -Kiss on my Deity-」(09)、「東のエデン」(09)、「トワノクオン 第一章 泡沫の花弁」(11)、「エリアの騎士」(12)などに出演。本作のマイク・トレーサー役は初めての主演。

■丹沢晃之 オフィシャルサイト:http://www.imenterprise.jp/data.php?id=48

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