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【放送芸能】

「リンキン・パーク」 メンバーの日系人 マイク・シノダ 被災地いつも見ている

 東日本大震災の支援には、外国人アーティストも熱心に取り組んだ。米の人気ロックグループ「リンキン・パーク」は、被災地の子どもたちが震災前の暮らしができることを念じ尽力した。このほどグループが来日、メンバーで日系人のマイク・シノダ(35)は「自分にとってもつらい出来事だったが、被災地は短期間のうちに復興に向けて整ってきている」と「祖国」の印象を語った。 (藤浪繁雄)

 「日本にルーツがあることもあって、知らない場所でも懐かしい感じがする。だからこそ、昨年の大震災はとてもつらかった」

 シノダがそう語るように、バンドはいち早くチャリティーライブなどに乗り出した。集まった四千万円以上の募金は、非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(東京)を通じ、主に被災地の子どもたちの学用品支援などにあてた。

 昨年九月には宮城県石巻市を訪ね、支援が行き届いているか自身の目で確認した。同NGOによると、バンドは現地の求めに応じた支援を重んじ、今回の来日では被災地を訪問する時間はなかったが、「東北はその後どうですか?」と状況を気にする旨の連絡が入ったという。

 バンドは、ハリケーン・カトリーナ(2005年)、ハイチ地震(10年)など災害支援に熱心に取り組んできた経験もあり、「募金で集めたお金を100%近く、直接被災地で使えるようにしたい。そのために、ノウハウを持つ各地の団体と組むことが重要だ」と強調する。その上で、石巻で「届いた学用品を子どもたちがきちんと使っていることを見ることができたのは有意義だった」と語る。

    ◇

 最近は、電気が未整備の後発開発途上国のエネルギー支援にも乗り出している。経済発展と環境保全の両立を考える「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)の関連会議にも参加した。

 ハイチやウガンダなどの状況を例に挙げ、「病院では帝王切開の手術中、ろうそくの明かりが消えてしまったりした。これは生死にかかわる問題だ」と訴え、ランタンなど簡易機器も含め、太陽光発電のシステム設置に取り組んでいる。

 前作のアルバム「ア・サウザンド・サンズ」(10年)では、原爆を開発したオッペンハイマー博士が最初の核爆発実験を目撃した際に発したとされる言葉の一部を題名にしたように、「核の恐怖」をテーマに掲げた。「世界の人が傷つけ合い、環境に悪いことをしたり…。無意識のうちに歌詞に表れていたのが恐怖だった」と話す。

 日本では多くの人が不安を抱く中、原発が再稼働。「ちゃんとした答えはないが、原子力の使い方を誤ると危険があることをすごく認識している」と慎重な口調で話した。

◆社会のゆがみ、若者の心歌う

 リンキン・パークはハードロック、ヒップホップ、電子系楽器などを組み合わせる独自のスタイルで、二〇〇〇年のメジャーデビュー以来、世界規模の人気を誇る。今回は日本で先行発売した新アルバム「リヴィング・シングス」(6月20日発売)のプロモーションなどのため来日した。

 新作について、シノダは「これまでの経験を踏まえ、楽しかったこと、初期のころのエネルギーを取り戻した。聴くのが楽しいアルバムになった」と原点回帰を強調する。

 歌詞には以前から、現代社会のゆがみ、若者の心の闇などを描いてきた。「ファンは曲を聴きネガティブな感情を放出する。暗いと思える曲でも気分が良くなったりする」と“効用”を挙げた。

●マイク・シノダ 1977年2月11日、米ロサンゼルス出身。父親が日系人、母親はロシア系米国人。バンドのボーカル、ギター、キーボードなどを担当し、曲づくりの中心で、アルバムのプロデュースも手掛ける。グループとは別の取り組みとして、第2次大戦中、家族が強制収容所に入れられたことを描いた曲などもある。

 

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