現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. 社会
  3. 記事
2012年7月24日22時35分

印刷用画面を開く

mixiチェック

このエントリーをはてなブックマークに追加

《いじめられている君へ》乙武洋匡さん

写真:乙武洋匡さん拡大乙武洋匡さん

■人生が輝く日 必ず来る

 生きていても楽しいことなんてない。君は、そう思うかな。でも、君がつらい目にあっているのは、だめな人間だからでも、劣っている人間だからでもない。

 僕は2007年から3年間、小学校の先生をしていた。当時の教え子は23人いて、みんな今、中学1年だ。どの子にも、いいところがいっぱいあるのを僕はよく知ってる。

 君にもすぐに会いに行き、いいところをいっぱい見つけて、「大丈夫だよ」と抱きしめてあげたい。でも、そうもいかないから、ここで伝えておくね。

 僕は先天性四肢切断という障害で両手両足がない。でも僕を認め、必要としてくれる家族や仲間のおかげで幸せに過ごしてきた。

 僕を認めない人、嫌う人、批判する人もたくさんいる。先生だったころは、同僚の先生たちと考えが合わず、否定されてばかりでしんどかった。

 誰にでも、合う人、合わない人の両方がいて、どちらの人たちの間に身を置くかで、毎日の楽しさや輝きは全然違う。君にも、将来出会うはずの仲間がいる。人生が輝き出す日は必ず来る。生きよう。学校を休んだって転校したっていい。

 すぐできることを一つ、教えてあげるね。

 君が受けているいじめをノートに書いてみるんだ。誰が何をしたか。周りはどう反応したか。君はどんな気持ちだったか。できれば、毎日書き続けよう。

 書けば気持ちが整理できる。何がつらく、自分がどうしたいか、どうしてほしいかが見えてくる。問題がこじれたときには、君を守る証拠にもなる。そして何より、その記録の厚みは、君が耐えに耐えてきた強さの証しになるんだ。(おとたけ・ひろただ=作家)

PR情報
検索フォーム

おすすめ

被害者にも加害者にもならないために。弁護士監修のQ&Aとともに、いざというときの対応策をご紹介。

まじめな人がなりやすく、なると自分を責める。こんなうつ病のイメージが変わろうとしている。

難関をくぐり抜けてきたエリート…のはずなのに人間関係でつまづくのはなぜ?

『ロリコン大国』ニッポン。児童ポルノの需要に目をつけた母親に『利用された』娘たち―。

様々な問題をはらむ今回のいじめ自殺問題を考える。

母と娘の確執――なぜ彼女たちは苦しんでしまうのだろうか。


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介
海猿×朝日新聞デジタル

朝日新聞社会部 公式ツイッター