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水産特区で注目 宮城海区漁業調整委選挙 競争回避無投票

 任期満了に伴う宮城海区漁業調整委員選挙が24日告示され、定数と同じ9人が立候補を届け出た。立候補は同日締め切られ、9人の無投票当選が決まった。無投票となったのは1984年以来、8回連続。任期は8月8日から4年間。
 公選法が準用される今回の海区選挙は、東日本大震災後に村井嘉浩宮城県知事が打ち出した沿岸漁業権を民間に開放する「水産業復興特区」構想が争点に浮上。一時、定数を上回る人数が名乗りを上げ、選挙戦となる公算が大きくなっていた。
 村井知事は2013年の漁業権免許更新期に合わせ特区を導入する方針。今回の選出委員は、知事の権限で与えられる免許の是非を審議する。
 19日現在の有権者数は3301人。東日本大震災前(10年12月現在)と比べ1452人減少した。選挙権・被選挙権があるのは県内沿岸15市町に住所があり、年間90日以上、漁業に従事する20歳以上の人か法人。

◎地域バランス、漁協調整

 宮城海区漁業調整委員選挙(定数9)は24日告示され、立候補は9人にとどまり無投票となった。一時は11人が立候補に意欲を示し、1980年以来、32年ぶりの選挙戦が濃厚とみられたが、急速にしぼんだ。衝突回避を狙った漁協組織による水面下の調整が、威力を発揮した格好だ。
 「知事ではなく、漁業者主導の水産業復興を目指すべきだ。そのためにも、この選挙を開かれたものにする」
 立候補を届け出た塩釜市の男性新人(63)は24日、海区選挙としては異例の第一声を同市内のホテルで行い、40人の支持者に熱っぽく訴えた。
 男性は立候補者の中で唯一、漁協に所属せず、推薦も受けない「純粋無所属」。塩釜市からは当初、別の漁協関係の新人も立候補予定だったが、「集票に自信がない」と直前に辞退したという。
 男性は無投票当選で「議席」は得たが、「漁業の将来像を懸け、徹底議論する好機だったのに」と残念がる。
 選挙戦を求める意見に対し、宮城県漁協幹部は「震災からの復興を目指している時に争っている場合ではない。大事なのは競争よりも共存だ」と強調する。
 漁協組織が重視するのは委員の「すみ分け」だ。当選者9人の内訳は石巻、気仙沼が各2人、塩釜、南三陸、女川、七ケ浜、亘理が各1人。結果的に地域バランスがとれた形になった。当選した一人は「漁協の推薦という形で、今回も地域ごとの調整機能が働いた」と振り返る。
 震災で有権者数は1452人減り、3301人に落ち込んだ。票が激減し、同じ市町から複数の候補が立てば共倒れの可能性も高まっていた。
 幹部は「地域に偏りなく委員を選ぶことで、漁業者の声を満遍なく県の施策に反映できる」と安心した様子で語った。


2012年07月25日水曜日


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