FC東京・渡邉「やるしかない」、危機感を糧に得点狙う
J1のFC東京は前線にFWエジミウソンを加え、し烈なポジション争いが始まった。ライバルの出現に「これは危機感を持つとかいう話じゃない。もう危機だよ」と言い、顔を引きつらせる選手がいた。その選手は25日のヤマザキナビスコカップ準々決勝第1戦、ベガルタ仙台戦を前に悲壮な決意を語っていた。
「このチャンスで結果を残さないともう後がない。それぐらいの覚悟があるよ」
そう言うと、FW渡邉千真は首をひねり、真一文字に口を結んだ。張り詰めた思いは仙台の地でゴールを呼び込んだ。
前半16分に、右CKからクロスが上がる。ニアサイドで相手DFに当たってボールの軌道が変わると、背番号11の目の前にボールが落ちてくる。コースを狙い澄ましたヘディングシュートは、GKの伸ばした手を越えてゴールネットへと吸い込まれていった。
しかし、心残りのプレーもあった。「でも、決められるゴールもあったからね」と語り、後半立ち上がりの決定機を外したことに唇をかんだ。
「もうやり続けていくしかないからね。次の試合でも続けていかないといけない」
誰もが認める抜群の得点感覚を誇りながらも、DFを背負うポストプレーは苦手としてきた。だが、求められるその役割に今季は取り組み続けている。ポポヴィッチ監督は「千真はたとえ苦手なプレーであっても、自分の特長とは違う動きをしみこませようとしている」とその姿勢を見守り続けている。ただし、FWはゴールを奪ってこそ、その評価を高めることができるのもまた事実だろう。
飛び切りの刺激を浴びてストライカーが本能を呼び覚まそうと試みる。「やるしかない」。その気持ちを転がるボールに乗せて、28日のアルビレックス新潟戦で今季初の公式戦2戦連発弾に照準を合わせる。
取材・文:馬場康平
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[ スポーツナビ 2012年7月28日 9:55 ]
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