名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(47)が27日、前代未聞となる試合前日に練習をしない調整法を敢行した。この日、28日のリーグ札幌戦(札幌厚別)に備え、中部国際空港から札幌に移動。25日のナビスコ杯清水戦から中2日でのアウェー連戦となるため、積極的休養を選択した。
試合前日は戦術を確認し、適度な負荷をかけて体を刺激しつつ、翌日に備える。グランパスはもちろん、他のJクラブでも、各国の代表チームでもそれがサッカー界の常識。ただ、そんな常識にとらわれないのがピクシー流だ。札幌戦前日の練習をカットし、移動のみとした理由について、ストイコビッチ監督はこう説明した。
「試合は16時開始のうえ、札幌は遠く、飛行機で移動しないといけない。そういうスケジュールに適合するためには、これしか選択肢はない。選手が自主的に動くこともありません。名古屋は暑すぎるし、必要のないこと。エアコンをかけて、しっかり休養をとってほしい」
確かに、今回は特殊な事情が重なった。25日のナビスコ杯清水戦から中2日。特に猛烈な湿度のなかでの清水戦は、闘莉王が「体重が3キロ減った」というほどの消耗戦となった。しかも試合後はバスで深夜の帰宅。わずか1試合だが、疲労度は高かった。そして札幌での午後のキックオフ時間から逆算し、十分な回復時間を取るために出した結論が、異例の試合前日ゼロ調整というわけだ。GK楢崎は「他のチームだったら驚きだけど、このチームなら別に驚きでもない」と苦笑い。常識にとらわれず状況に柔軟に対応するスタイルは、選手たちにも浸透している。「札幌はJ2レベルという意見もあると思うが、私にとってはそうではない。何人かは良い選手がいる」と指揮官。断トツ最下位の札幌をナメているわけでは、けっしてない。 (宮崎厚志)
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