事故直後のテレビ会議映像公開へ7月27日 23時39分
原発事故直後に福島第一原子力発電所と東京電力の本店などを結んだテレビ会議の映像について、東京電力は来月上旬に報道機関に公開することを明らかにしました。
しかし公開は、去年3月11日から5日分に限られ、個人も特定できないように映像に加工を加えるということで、事故の検証に十分な内容なのか、今後議論を呼びそうです。
テレビ会議の映像を巡っては、東京電力がプライバシーや社内資料を理由に公開を拒んできましたが、枝野経済産業大臣からの事実上の行政指導や社会的な強い要請などを受けて、一転して公開する方針を示していました。
東京電力が、27日に明らかにしたところによりますと、公開されるのは、記録が残っている事故発生当日の去年3月11日午後6時半ごろから、3月16日午前0時ごろまでの映像です。
公開は、来月6日から10日にかけて報道機関に対して行い、東京の本店に閲覧用の視聴室を設けるということです。
閲覧用の映像は編集せず、すべてを見ることができますが、個人が特定できないよう、名前が分かるような映像や音声には加工を加えるということです。
また、閲覧用とは別に、いわゆる全員撤退問題に関わるやりとりが記録された時間帯や、当時の菅総理大臣が、東京の本店を訪れた時間帯など関心の高いものについては、一部を抜き出して加工し、報道機関に映像を提供するということです。
テレビ会議の映像については、当時の事故対応や判断を検証するうえで欠かせない資料ですが、今回のような限定的な公開で検証に十分な内容なのか、今後、議論を呼びそうです。
東京電力は「プライバシーの関係で映像をそのまま提供できない。準備の時間的な制約もあり、公開する期間も限定せざるを得なかった。去年3月15日以降の映像の公開については、まだ決めていない」と話しています。
株主代表訴訟弁護団“全部公開を”
事故直後のテレビ会議の映像を巡っては、東京電力に対する株主代表訴訟を起こした原告らが「記録が消去されるおそれがある」と主張して、東京地方裁判所に証拠として確保するよう求める申し立てを行っています。
今回、東京電力が報道機関向けにテレビ会議の映像を公開するとしたことについて、原告弁護団の海渡雄一弁護士は「公開されるのは一部の期間にすぎず、少なくとも報道機関には全部を公開すべきだ。形ばかりの『名ばかり公開』では正確な検証はできない」と批判しています。
そのうえで、「裁判では『必要な記録が消去されるおそれがある』と主張し、あくまでも全ての映像を証拠として確保するよう求めるとともに、申し立てが認められた場合には裁判の中で映像の内容をすべて公にしたい」と話しています。
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