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政治
【主張】尖閣防衛 自衛隊活用も考える時だ
野田佳彦首相は衆院本会議で、尖閣諸島など日本の領土・領海で外国による不法行為が発生した場合、「必要に応じて自衛隊を用いることも含め、政府全体で毅然(きぜん)と対応する」と述べ、自衛隊出動を検討する考えを示した。
中国が奪取を狙う尖閣諸島を守り抜く首相の強い意志の表れと受け止めたい。
森本敏防衛相は首相発言を受け、海上保安庁や警察だけで対応できない場合、海上警備行動や陸上の治安出動、防衛出動に伴う自衛隊の活動が法的に確保されていることを指摘した。
海上警備行動は自衛隊法82条に基づき、海上での人命・財産保護や治安維持のために防衛相が命じるもので、海上自衛隊の艦船が出動する。平成11年3月の能登半島沖不審船事件と16年11月の中国原子力潜水艦領海侵犯などに対し発令されている。
治安出動(同78、81条)は、警察力だけで治安を維持することができない場合に発令される。防衛出動(同76条)は、日本への外部からの武力攻撃が発生、もしくはその危険が迫った場合に首相が自衛隊に出動を命じるものだ。いずれも、発令されたことはない。
野田政権の尖閣国有化方針に対し、中国は漁業監視船を尖閣周辺の日本領海に侵入させるなど挑発・威嚇行為を繰り返している。中国共産党機関紙の人民日報は、武力衝突の可能性を示唆するコラムを掲載し、尖閣周辺の事態は予断を許さない状況だ。
官邸を中心に防衛、外務両省、海保、警察両庁など関係省庁間で尖閣諸島への中国の武装漁民上陸や不法占拠などを想定し、自衛隊法の適用や自衛隊の運用方法を早急に準備する必要がある。現状は尖閣の地形調査すら行われておらず、有事における備えや対処などでは極めて不十分な状況だ。
尖閣諸島が日米安保条約の対象内にあることをクリントン米国務長官らが明言している。沖縄が米国の施政下に置かれていた時期、尖閣諸島の久場島では米軍の射撃演習が行われていた。尖閣周辺での日米合同演習実施についても、両国間で検討してほしい。
尖閣諸島を外国の不法行為から守るのは、まず海保の巡視船である。海上警察権強化のための海上保安庁法改正案の早期成立に加え、巡視船の増強と海上保安官の増員を重ねて求めたい。
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