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最終更新:2012年7月27日(金) 20時41分

原発収束作業で「ピンハネ」横行

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 原発事故の収束作業をめぐって、違法な多重派遣によっていわゆる「ピンハネ」が横行しているとして、日本労働弁護団が国に厳正な指導を求めました。取材に応じた元作業員の男性がその実態を証言しました。

 「APDっていう線量を測る機械が鳴る。ウィンウィン鳴る」(福島第一原発の元作業員の男性)

 福島第一原発で、去年7月から8月初めまで緊急作業に従事した長崎県出身の男性(45)。当初、建屋の外での作業と聞いていましたが、実際には爆発して崩れた1号機の建屋内での作業を命じられました。浴びた放射線量は、ひと月あまりで12ミリシーベルト。そのまま1年間に換算すれば、被ばく量の上限の3倍近くの値になります。

 「これが給与明細」(福島第一原発の元作業員の男性)

 ところが、日給は1万1400円。約束された額よりも安く、危険手当もなかったといいます。

 「これを受け入れたのでは本当に奴隷になってしまう」(福島第一原発の元作業員の男性)

 日本労働弁護団によると、東京電力と男性の間には6社もの業者が入っていました。男性が直接、労働契約を結んでいたC社からD社には、日当と危険手当、あわせて2万4000円が支払われていましたが、F社から男性に払われたのは1万1400円のみでした。

 派遣先から、さらに別の会社への「多重派遣」は、いわゆる「ピンハネ」を生みやすいとして、職業安定法で禁じられているのですが、C社の当時の社長は去年、次のように話しました。

 「(Q.違反の認識は?)全くない。どこでもやられているのでは」(C社の社長【当時】、去年12月)

 日本労働弁護団は27日、この男性に対する賃金の未払いや多重派遣は違法だとして、労働基準監督署などに申告することを明らかにしました。

 「個々の下請け企業が悪質という問題にとどまらない。構造的な問題」(日本労働弁護団・水口洋介弁護士)

 弁護団では国に厳正な指導を求めるとともに、福島原発で働く労働者の安全管理は東京電力が直接行うよう法改正を求めています。(27日17:20)

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