数百億円集めた投資会社が配当停止、解約も応じず 集団提訴へ
イギリスのブックメーカーを利用して運用するとうたい、資金を集めた大阪の投資会社が、5月から配当が滞り、解約にも応じていないことがわかった。出資者らは会社に対し、元本の返金を求める集団訴訟を行う方針。
「元本は返してほしい」と切実に訴える女性。
女性が300万円を投資していたのは、イギリスのブックメーカーを利用して資金を運用するとうたう、「スピーシー」という名の投資会社だった。
新たな詐欺事件に発展するのか。
「絶対もうかる」と高配当を約束し、数百億円を集めていた大阪の投資会社「スピーシー」が、2012年5月ごろから出資者への配当が滞り、解約にも応じていないことがわかった。
この会社に投資していた女性は「日本に預金していても、全然利子がつかない。少しでもお金が欲しい気持ちだった」と話した。
女性は2012年1月、知人に勧められて300万円を投資し、3月と4月には配当として、それぞれ11万円が振り込まれた。
しかし、出資した女性は「5月以降は何も入ってないです。『どうしたんですか?』と問い合わせしました。でも、『ただ遅れてるだけだから』ということで」と話した。
スピーシーが行っているとする投資は、イギリスの「ブックメーカー」を使ったもの。
ブックメーカーごとに、それぞれオッズが違うことを利用し、「確実に利益を出せる」とのうたい文句だった。
たとえば、サッカーのイングランドとドイツの試合で、ブックメーカーAが、イングランドに1.8倍、ドイツに2.2倍というオッズをつけ、ブックメーカーBが、イングランドに2.1倍、ドイツに1.5倍というオッズをつけたとする。
ブックメーカーAでドイツに1万円、ブックメーカーBでイングランドに1万円をそれぞれ賭ければ、ドイツが勝てば、Aから2万2,000円が、イングランドが勝てば、Bから2万1,000円の配当が得られ、どちらが勝ってももうかるという。
しかし、出資者から相談を受けている荒井哲朗弁護士は「いわゆる『キャンセルベット』というんですが、(片方の)ベット(賭け)がキャンセルされてしまうと、こちらに10億、こちら(もう一方)に10億を賭けて、それぞれ2.1倍と思っていたのに、こっち(片方)がキャンセルされて、片方が残ってしまうと、どうしようもない」と語った。
荒井哲朗弁護士は、ブックメーカーに、あまりにも多額の金を賭けると、キャンセルされたり、賭け金を減らされたりすることがあり、計算通りにはいかないと話す。
27日、大阪市内にある会社を直撃すると、弁護士事務所から来ているという男性は「『全額返金の方向で動いている』とは言われてますので。(誰から聞いている?)弁護士から言われています」と話した。
今後、出資者らはスピーシーに対し、元本の返金を求める集団訴訟を行う方針。