スポーツ賭博に投資すれば多額の配当を得られるとうたい、出資金を集めていた大阪市の投資会社「スピーシー」が今年４月以降、出資者への配当を取りやめ、元金の返済もほとんどしていないことが27日、出資者や代理人の弁護士への取材で分かった。

　代理人によると、出資者は全国に千人以上おり、出資金は計数百億円に上る可能性もあるという。出資者の一部は近く、元金の返済を求め東京地裁に提訴する。

　代理人や出資者によると、同社は英国のブックメーカー（賭け屋）を使い、同じ試合であってもブックメーカーごとに倍率が異なることに着目。「複数の賭けを組み合わせれば損失が出ない」などと説明し、毎月３～10％程度の配当を出せるとしていた。昨年末から投資を募っていたとみられ、配当を中止する直前には「キャンペーン」と称し、配当を１％ほど上乗せしていた。

　出資者が別の出資者を勧誘するなど口コミで広がり、上位の勧誘者はより多い配当を得られる仕組みもあった。「元本を保証する」と誘われた出資者もいるという。訴訟の準備を進めている荒井哲朗弁護士は「出資法に違反する疑いがあり、出資者の集め方もマルチ商法的だ」と指摘している。

　今年４月に500万円を出資した東京都内の男性によると、７月に出資金の６％が振り込まれたが、具体的な返済計画などは明らかにされていないという。

　スピーシー側に取材を申し込んだが、これまで取材に応じていない。〔共同〕