食料高騰時代の幕開けか、米干ばつの影響で世界の貧困悪化も
7月27日(ブルームバーグ):今年は酷暑になった。米中西部が記録的な干ばつに見舞われ、米農務省は2012年のトウモロコシ生産高見通しを12.3%引き下げた。トウモロコシ相場は10年7月の水準を既に90%上回っている。食料価格の高騰をきっかけに世界30カ国以上で暴動が発生した08年の水準も超えている。
米政府は25日、トウモロコシ価格の上昇により食肉価格が来年4-5%上昇する可能性があると予想。こうした上昇傾向を事態悪化の前兆と考えざるを得ない。特に、限られた所得の60-80%を食費に充てている世界の貧困国の国民にとって不安が広がっている。ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌7月30日号が報じている。
トウモロコシ相場が高騰したのは06年以降で4回目だ。発展途上国の人々にとって、食料価格が高騰すれば栄養不良のリスクが高まる。栄養状態が悪化すれば認識能力が低下し、健康状態と所得に生涯にわたって影響を及ぼしかねない。世界銀行の研究員らの推計によれば、10年6-12月の食料価格の変動により、約4400万人が1日当たりの生活費が1.25ドルを下回る極度の貧困生活に逆戻りした。この間トウモロコシ価格は73%高騰した。最近の価格変動が長期的パターンの始まりだとすれば、今後50年間、世界の貧困改善ペースは大幅に鈍化する可能性がある。
米国の穀倉地帯が高温と乾燥した天候に見舞われれば、アフリカやアジアの数億人の人々の生活に影響を及ぼすこの現実は、世界の食糧供給がどれほど強く連関しているかを示している。また、地球温暖化が経済的コストを伴うものであるということをあらためて思い起こさせてくれる。
(ケニー氏は世界開発センターとニュー・アメリカ財団のフェローです)
原題:Cheap-Food Era Is Ending: Bloomberg Businessweek OpeningRemarks(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:シカゴ Steve Stroth sstroth@bloomberg.net
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更新日時: 2012/07/27 11:07 JST