―― 特撮博物館で上映される短編映画「巨神兵東京に現わる」では、東京が徹底的に破壊されます。他の作品でも破壊や爆発のシーンが多い。「破壊」へのこだわりがあるのですか。
子どもの頃、そこにあるものが壊れると何かしら「うれしい」「楽しい」という感覚がありました。僕に限らず、幼い子はそういうものだと思います。日本や現代社会全体が壊れることをイメージして「いいな」と思っていた時期もあります。でも、大人になって「そこに住んでいた人はどうなるのか」と、現実的に考えると喜べなくなる。3・11の映像もショックでした。絵空事だと楽しめても、本物は見たくないんです。
―― 「子どものトラウマになるような映像を見せたい」という気持ちがあるそうですね。
子どもに「世の中には怖いものがある」という情報を伝えたいんです。今は、テレビをふくめ子どもに対してそういうことを隠蔽(いんぺい)し過ぎる。僕が子どもの頃は怖いものが街にあふれていました。家の裏はもう闇。犬や猫の死体も放っておかれた。大人だって怖かった。戦争に行った経験のある人が身近にいたんですから。
文/太田啓之
(更新日:2012年07月24日)
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