ホーム > 茅ヶ崎版 > トップニュース > 沖縄戦の真実描く
最新号:2012年7月27日号
2012年7月27日号
香川在住の映画監督・朴壽南(パクスナム)さん(77)=写真=の映画「ぬちがふう(命果報)―玉砕場からの証言―」が8月25日(土)、茅ヶ崎市民文化会館で上映される。同作では、太平洋戦争末期の沖縄で下された「玉砕命令」の真実が生存者27人の肉声によって明かされている。
沖縄の集団自決がテーマになっている同作。2006年から2008年に行った沖縄取材での証言と、約20年前(1989年〜1992年)に撮影した未公開映像が、132分にまとめられている。
「ぬちがふう」とは、沖縄の言葉で「命あらばこそ」という意味。作中には、沖縄戦当時まだ少年少女だった慶良間諸島の住民と、朝鮮から連行されてきた元軍属、慰安婦らが登場。彼らが語る玉砕の記憶により悲惨な真実が明かされていく。
民族差別題材に
作家、映画監督として活躍する朴監督は、在日韓国人二世として三重県で生まれ、横浜市で育った。「美しかった母のチマチョゴリに石を投げつけられたことがとてもショックだった」と最初に記憶する差別体験を語る。「両親は『石を投げる者、いじめる者こそ恥ずかしい人間。自分の誇りを失うな』と繰り返し教えてくれたけれど、(国の)植民地化により言葉や歴史を奪われたことにより、両親や自分の存在を否定し続けてきた」と朴監督。
今まで、在日二世の少年が女学生を殺害した小松川事件や、広島で被爆した在日コリアンの存在を著書や映像作品で表わしてきた。
今回で3作目の映画となるが、一貫して民族差別問題に取り組んでいる。それは、1945年に日本の敗戦と祖国の解放を同時に迎え、「自分のあるべき場所」を求め続けてきた結果だという。
朴監督は、今までの長い取材の過程を「私の旅」と呼んでいる。「この旅は、自分自身を否定し続けた私の存在を回復させる旅でもありました。戦争を知らない若い人にもこの映画を見て欲しいです」と笑顔で語った。
上映は午後6時30分から(6時開場)。チケットは市民文化会館と、川上書店茅ヶ崎ラスカ文具部で販売中。前売り券1400円。当日券1600円。詳細は朴麻衣さん【携帯電話】090・6867・3843へ。