「名家のり」というブランドで知られる海産物加工業者、三海商事(ソウル市松坡区)は、毎年2000万ドル(約15億7000万円)相当以上ののりを輸出している。売上高わずか475億ウォン(約32億7000万ウォン)の中小企業だが、韓国ののり輸出の約20%を占め、世界の舞台に韓国製品を売り込む先鋒を務めている。
こうした業者による輸出を追い風として、今年上半期の農産加工品輸出は前年同期比5.6%増の37億3000万ドル(約2900億円)となり、輸出全体の伸び率(0.6%)を大きく上回った。
韓国農村経済研究院のチョン・チャンゴン研究委員は「昨年の農産加工品輸出の伸びは、韓流が広がったほか、日本の大地震で韓国の農産加工品の対日輸出が増えたことによる」と指摘した。自由貿易協定(FTA)による効果もある。今年上半期の対欧州連合(EU)輸出は2億1000万ドル(約16億円)で、金額は大きくないが、前年比で10.5%増加した。
■法的なハードルが課題
しかし、韓国の農産加工品の世界的普及には越えなければならないハードルが少なくない。まず、各国の衛生法規が障害となる。例えば、中国では発酵食品に対する衛生基準がまだ整備されておらず、韓国のキムチやマッコリ(韓国式濁り酒)を正式に輸出できずにいる。韓国政府は中国政府の衛生基準の制定を要望しており、24日に行われる韓中貿易実務者会談でも話し合われる予定だ。
韓国食品研究院の関係者は「農産加工品の輸出は、衛生法規のクリアが最大のハードルだが、中小企業は関連法規や通関手続きに関する情報収集能力が劣る。食品が安全だという事実を立証するための試験設備の設置も難しいのが現状だ」と説明した。
食品の安全検証設備には、平均20億ウォン(約1億4000万円)の投資が必要で、中小企業には厳しい。韓国食品研究院など政府機関が必要な試験や分析表作成を行っているが、依頼件数が多すぎ、処理が追い付かないケースが相次いでいる。