第40回 「雷電シリーズとはなんぞや?」その5(雷電III 後編)
池田@雷電です!!
本日は、「雷電シリーズ」を知らない、若い世代の皆さんのために各雷電シリーズについて紹介記事をまとめる「雷電シリーズとはなんぞや?」その5「雷電III」(後編)です。
■雷電III 後編■
2004年末、突如として発表された「雷電III」。(詳しくは前回記事参照)伝説の名作シューティングの続編が10年ぶりにリリースされるとあって、発表当時はネット上の掲示板や関連コミュニティを中心に期待の声や様々な意見交換がなされていました。そして同年12月下旬、遂に都内ゲームセンターにおいてロケテストが開催され、ついにそのベールが明らかにされました。
今回は「雷電III」に実装された代表的な新規システムやコンセプト等をご紹介、検証致します。
■新機軸な要素■
-初期装備-
前3方向の「バルカン」が初期装備となりました。「雷電DX」までの前1方向の貧弱だった初期装備に比べると安心感が増し、復活時のストレスも軽減しました。また、ボンバーも「投下型」「拡散型」といった種別が廃止され、一瞬で画面全体の敵弾を消しさる、使い勝手の良い(多くのプレイヤーがイメージするような)「ボンバー」に変更されました。
-オートショット採用-
「雷電DX」までとは異なり、ボタンを押しっぱなしにすることで、オートでショットを最速連射する機能が実装されました。なお、「雷電III」はショットを1回押すと、画面上に4発ぶんショットが一度に発射される、所謂「彩京シューティング」と同じ仕様が採用されていました。
-当たり判定-
「雷電III」は現代的なシューティングゲームに歩調をあわせ、当たり判定(敵弾がヒットして自機が破壊される箇所)が従来と比較して物凄く小さくなりました。これによりアドリブでの高速弾避けがある程度ですが、可能となります。
-パワーアップ方式の変更-
「雷電DX」までは、ショットパワーを上げるために「赤」→「赤」とアイテムを同色で取得し続ける必要がありましたが「雷電III」では「赤」→「青」と違う色のアイテムを取得しても一段階ショットパワーが上がります。細かい変更点ですが初~中級者にとって、この方式は嬉しい配慮です。この仕様は新作「雷電IV」にも引き継がれました。
-プロトンレーザー-
先の「3大シューティング祭り」において駒澤社長の発言に「新作の雷電には新しい武器が必要」といったコメントもありましたが「雷電III」ではプラズマレーザーが廃止され、レバーを振ることによって威力の増す新装備「プロトンレーザー」が採用されました。廃止された「プラズマレーザー」が受動的な装備であったのに対し、「プロトンレーザー」は能動的な装備です。「雷電III」における受動的(つまり初心者や一般プレイヤー向け)装備は前述のようにオート連射並びに初期状態が強化された「バルカン」が担う、といった計算があるわけです。
-レーダーミサイル-
サブウェポンにも新装備が追加されました。既存装備の「ニュークリア」と「ホーミング」の中間的(ある程度誘導しつつ、威力もそこそこ高い)性能を持ちます。「場面によって武器を切り替えるのが面倒な人に便利な武器を提供したかった」というコンセプト。しかし「雷電III」では、バグのためか、実際の威力が「ニュークリア以上になってしまった」ので武器切り替えが面倒じゃない人も「レーダーミサイル 一択」に(笑)
-フラッシュショットシステム-
別名「秒殺システム」。敵を出現後、素早く倒す事により、敵機の素点に最大で2倍の倍率が掛かります。概念的には「ライデンファイターズシリーズのクイックショット」に近いです。従来の「雷電シリーズ」にあったボーナスフィーチャーとは真逆のスタイル(その3記事参照)を採用した経緯は、以前よりも大幅に「ヘビーユーザー化」が進んでしまったシューティングジャンルのプレイヤーへ「稼ぎプレイの提供」といった時代性にあるものと思われます。しかしシステム内容は、あくまで雷電らしい「ルールのわかり易さ」と「進行の妨げにならないもの」といった考慮がなされています。
-ダブルプレイモード-
「THE FLASH DESIRE 雷電III」のオーディオコメンタリーによると、基本的には「2人同時ハイスコア集計」(1941とかあの辺です) を狙ったモードとのことでした。ダブルプレイヤー(二人同時プレイにおける2つの機体を1人のプレイヤーが操作し進行するプレイヤー)の皆さんにとって、専用にモード(ボンバー及び得点が共有)が用意されたゲームは「雷電III」が初めてだったため、非常に好評だったとのこと。
-1周エンド-
「雷電シリーズ」といえばループプレイ仕様(難易度は上がり続けるがゲームオーバーにならない限り永遠に100円でゲームを遊び続けることができる)ですが、昨今のゲームセンターの事情を考え、「雷電III」では全7ステージをクリアすればエンディング~スタッフロール(シリーズ初ですね)が流れてゲーム終了となります。ステージ数も従来よりもコンパクトになり、ステージの長さも従来よりも短めです。また、「雷電シリーズ」は常時スクロールスピードが一定で、ゲームの進行速度に大きな変動が無いシューティングゲームでしたが、「雷電III」では場面によって「高速スクロール」になるなど、ステージ内に起伏や変化をつけているのも特徴となります。
-左右スクロールの廃止?-
従来の「雷電」にあった、画面左右のスクロールが廃止となりました。これにより「雷電シリーズ」のお約束「右端から左端に移動したら、左端にいた戦車にスナイプされた!!」というシチュエーションが無くなったわけです。また全ての敵キャラが画面上に表示される事により、空中ザコヘリの対処方が従来の「雷電シリーズ」とは感覚的に違うものになります。更にいえば、開発時における敵弾速度の設定や調整にも少なからず影響があったのではないでしょうか。プロデューサーの駒澤社長から伺ったお話では「左右スクロールについては本当はやりたかったが、時間的猶予の問題でやむなくカットした」とのこと、また「THE FLASH DESIRE 雷電III」のオーディオコメンタリーに「製作途中で開発ハードの変更があり・・・」という発言がありましたが、こういった部分も関連していたのかもしれません。なおこの仕様は新作「雷電IV」では見事復活致しました。
■従来のファンに向けての要素■
-雷電シリーズの象徴的キャラクター採用-
一部デザインはリニューアルされましたが「フェアリー」「スポーツカー」「勲章」「赤いクリスタル」など「雷電シリーズ」には欠かせないオブジェやキャラクターが多数登場します。しかし、結果論ですが新作の「雷電IV」に比べると、その種類は少なかったかもしれません。
-エンディングで・・・・-
なんと初代「雷電」のMAPが出てきます。初代「雷電」の1面ボス右手前に存在する「ファイティング・サンダーの残骸」が「雷電III」の終着点と誰が想像したでしょうか。歴史あるシリーズならではの演出に度肝を抜かれました。
-ゲームの展開-
「雷電シリーズ」の基本を踏襲し、前半(1~3面)は地上戦で、後半(4~7面)宇宙戦となります。前半面は(主にボス戦)は、「雷電DX」までのシリーズのオマージュ的展開で、後半は「コロニー」「プラント」など、シリーズ初登場の戦闘シチュエーションを用意し、コンセプトを明確に分けていたと思われます。また、佐藤豪さんによるBGMも、前半は「雷電DX」までのメロディ主体の楽曲を揃え、後半は比較的テクノ(ライデンファイターズ)寄りの楽曲を配置・・・と、両作品のファン対応を目指している感が伺えます。
MOSSさんは「今のプレイヤー及び、従来のファンに対しても全対応」を目標を掲げ、ゲームの展開に関して相当神経をすり減らしてベストを追求したとのこと。しかしながら、ユーザー様には当然、開発側のトライ&エラーの積み重ねや、現在の仕様に至った理由付け、経緯を目にする事ができません。つまり、プレイした人によっては、直感的に「広く浅くで中途半端な感じ」や「実験的」等 色々と、思うところがあったかと思います。
結果として「雷電III」は2005年2月のAMショーでの発表をはさみ、同年3月にリリースされ、苦境と呼ばれるアーケード業界において、シューティングというジャンルで数少ない販売的成功を収めたタイトルとなりました。しかし「歴史ある雷電シリーズの続編」として、評価は「肯定的」なもの「否定的」なものプレイした方によって様々でした。
※そもそも「雷電DX」までの時代にはユーザー様の意見を直接見たり、聞いたりする機会が極端に少なかったゆえ(そういった環境自体も皆無)、「雷電III」に限り様々なご意見が出たっ・・・てわけではないでしょうけど。
今まで述べてきた文章から評価の分かれそうなポイントをまとめると、
・ ショットが「彩京シューティング」と同仕様
・ 廃止された「プラズマレーザー」
・「稼ぎプレイの提供」と「ルールのわかり易さ」の両立
・「雷電シリーズ」といえばループプレイ
・従来の「雷電シリーズ」には進行速度に大きな変動が無い
・ 画面左右のスクロールが廃止
・ 象徴的キャラクターの再登場の種類が少なかった
・ 前半と後半でコンセプトを分けていた
といったところでしょうか。これらのご意見は当然のように次回作「雷電IV」開発に反映され、その他MOSS社内で協議し洗い出された様々な反省点(ゲーム内部仕様だけに限らず、開発スタンスやロケテスト期間など)も、次回作で修正、改善されることとなります。
また一部、ご意見として
・良い意味での「毒」が無い
・スマート(正統派)すぎる
・・・といった感想も目にしました。しかし、これについては純粋なシューティングゲームとしての完成度に問題がないという裏返しともいえます。通常(正統派)のシューティングゲームにおける重要な要素「撃つ、避ける」を含めた基本的な部分(ツボ)は「雷電III」は着実に押さえていたわけです。このような「雷電III」の成功事例(良かった部分)は全て「雷電IV」に引き継がれました。
「雷電シリーズとはなんぞや?」その5(雷電III 後編)は以上です。全5回お送りしました「雷電シリーズとはなんぞや?」は如何でしたでしょうか。「まだわかんねーよ!!」「もっと詳しくおしえろ!!」「もう終わりかよ!!」という皆さんは僕よりも気合の入った解説や攻略記事が読める(ほぼ公認サイト)、「NMT」さんのサイトや「雷電フリークス」さんへ是非足をお運び下さい!! 今後益々の「新規雷電ファン増加」を心から願っております!!
次回以降は、いよいよ「雷電IV」について、様々な紹介記事を追って書いて行きたいと思います!! どうか発売日までお付き合いよろしくお願い致します。
<以下ウンチク>
●製品版とは微妙に異なる「ロケテスト版 雷電III」の映像を公開!! 「雷電シリーズ」譲りの、リアルで重厚感ある緻密な書き込みは3Dポリゴンになっても変わらぬ魅力を放っていますし、爆発パターンなどもカッコイイです、是非映像でチェックを!!!
http://www.inhgroup.com/kj/raiden3.wmv
●ダブルプレイとはなんぞや?って方は「雷電III」並びに「雷電IV」のハイスコア集計ダブルプレイ部門全国1位保持者「服部」さんのプレイを「THE FLASH DESIRE 雷電IIIのサンプル動画」で確認してみてください!!
http://www.inhgroup.com/image/item/raiden04/raiden04_sample03.wmv
●昨日と今日の「雷電III」に関する記事を読んでから、前回の駒澤社長のインタビューを読むと、より「雷電III」と「雷電IVの製作スタンスの違いや「雷電IV」のコンセプトへの理解度が増します!! 一度読んだ方もこの機会に是非ご再読を。
http://raiden4.air-nifty.com/blog/2008/07/41_0b03.html
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