雷電シリーズとはなんぞや?

2008年9月 4日 (木)

第40回  「雷電シリーズとはなんぞや?」その5(雷電III 後編)

池田@雷電です!!

本日は、「雷電シリーズ」を知らない、若い世代の皆さんのために各雷電シリーズについて紹介記事をまとめる「雷電シリーズとはなんぞや?」その5「雷電III」(後編)です。

※「雷電III 前編」はこちら

■雷電III 後編■

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2004年末、突如として発表された「雷電III」。(詳しくは前回記事参照)伝説の名作シューティングの続編が10年ぶりにリリースされるとあって、発表当時はネット上の掲示板や関連コミュニティを中心に期待の声や様々な意見交換がなされていました。そして同年12月下旬、遂に都内ゲームセンターにおいてロケテストが開催され、ついにそのベールが明らかにされました。

今回は「雷電III」に実装された代表的な新規システムやコンセプト等をご紹介、検証致します。

■新機軸な要素■

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-初期装備-
前3方向の「バルカン」が初期装備となりました。「雷電DX」までの前1方向の貧弱だった初期装備に比べると安心感が増し、復活時のストレスも軽減しました。また、ボンバーも「投下型」「拡散型」といった種別が廃止され、一瞬で画面全体の敵弾を消しさる、使い勝手の良い(多くのプレイヤーがイメージするような)「ボンバー」に変更されました。

-オートショット採用-
「雷電DX」までとは異なり、ボタンを押しっぱなしにすることで、オートでショットを最速連射する機能が実装されました。なお、「雷電III」はショットを1回押すと、画面上に4発ぶんショットが一度に発射される、所謂「彩京シューティング」と同じ仕様が採用されていました。

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-当たり判定-
「雷電III」は現代的なシューティングゲームに歩調をあわせ、当たり判定(敵弾がヒットして自機が破壊される箇所)が従来と比較して物凄く小さくなりました。これによりアドリブでの高速弾避けがある程度ですが、可能となります。

-パワーアップ方式の変更-
「雷電DX」までは、ショットパワーを上げるために「赤」→「赤」とアイテムを同色で取得し続ける必要がありましたが「雷電III」では「赤」→「青」と違う色のアイテムを取得しても一段階ショットパワーが上がります。細かい変更点ですが初~中級者にとって、この方式は嬉しい配慮です。この仕様は新作「雷電IV」にも引き継がれました。

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-プロトンレーザー-
先の「3大シューティング祭り」において駒澤社長の発言に「新作の雷電には新しい武器が必要」といったコメントもありましたが「雷電III」ではプラズマレーザーが廃止され、レバーを振ることによって威力の増す新装備「プロトンレーザー」が採用されました。廃止された「プラズマレーザー」が受動的な装備であったのに対し、「プロトンレーザー」は能動的な装備です。「雷電III」における受動的(つまり初心者や一般プレイヤー向け)装備は前述のようにオート連射並びに初期状態が強化された「バルカン」が担う、といった計算があるわけです。

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-レーダーミサイル-
サブウェポンにも新装備が追加されました。既存装備の「ニュークリア」と「ホーミング」の中間的(ある程度誘導しつつ、威力もそこそこ高い)性能を持ちます。「場面によって武器を切り替えるのが面倒な人に便利な武器を提供したかった」というコンセプト。しかし「雷電III」では、バグのためか、実際の威力が「ニュークリア以上になってしまった」ので武器切り替えが面倒じゃない人も「レーダーミサイル 一択」に(笑)

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-フラッシュショットシステム-
別名「秒殺システム」。敵を出現後、素早く倒す事により、敵機の素点に最大で2倍の倍率が掛かります。概念的には「ライデンファイターズシリーズのクイックショット」に近いです。従来の「雷電シリーズ」にあったボーナスフィーチャーとは真逆のスタイル(その3記事参照)を採用した経緯は、以前よりも大幅に「ヘビーユーザー化」が進んでしまったシューティングジャンルのプレイヤーへ「稼ぎプレイの提供」といった時代性にあるものと思われます。しかしシステム内容は、あくまで雷電らしい「ルールのわかり易さ」と「進行の妨げにならないもの」といった考慮がなされています。

-ダブルプレイモード-
「THE FLASH DESIRE 雷電III」のオーディオコメンタリーによると、基本的には「2人同時ハイスコア集計」(1941とかあの辺です) を狙ったモードとのことでした。ダブルプレイヤー(二人同時プレイにおける2つの機体を1人のプレイヤーが操作し進行するプレイヤー)の皆さんにとって、専用にモード(ボンバー及び得点が共有)が用意されたゲームは「雷電III」が初めてだったため、非常に好評だったとのこと。

-1周エンド-
「雷電シリーズ」といえばループプレイ仕様(難易度は上がり続けるがゲームオーバーにならない限り永遠に100円でゲームを遊び続けることができる)ですが、昨今のゲームセンターの事情を考え、「雷電III」では全7ステージをクリアすればエンディング~スタッフロール(シリーズ初ですね)が流れてゲーム終了となります。ステージ数も従来よりもコンパクトになり、ステージの長さも従来よりも短めです。また、「雷電シリーズ」は常時スクロールスピードが一定で、ゲームの進行速度に大きな変動が無いシューティングゲームでしたが、「雷電III」では場面によって「高速スクロール」になるなど、ステージ内に起伏や変化をつけているのも特徴となります。

-左右スクロールの廃止?-
従来の「雷電」にあった、画面左右のスクロールが廃止となりました。これにより「雷電シリーズ」のお約束「右端から左端に移動したら、左端にいた戦車にスナイプされた!!」というシチュエーションが無くなったわけです。また全ての敵キャラが画面上に表示される事により、空中ザコヘリの対処方が従来の「雷電シリーズ」とは感覚的に違うものになります。更にいえば、開発時における敵弾速度の設定や調整にも少なからず影響があったのではないでしょうか。プロデューサーの駒澤社長から伺ったお話では「左右スクロールについては本当はやりたかったが、時間的猶予の問題でやむなくカットした」とのこと、また「THE FLASH DESIRE 雷電III」のオーディオコメンタリーに「製作途中で開発ハードの変更があり・・・」という発言がありましたが、こういった部分も関連していたのかもしれません。なおこの仕様は新作「雷電IV」では見事復活致しました。

■従来のファンに向けての要素■

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-雷電シリーズの象徴的キャラクター採用-
一部デザインはリニューアルされましたが「フェアリー」「スポーツカー」「勲章」「赤いクリスタル」など「雷電シリーズ」には欠かせないオブジェやキャラクターが多数登場します。しかし、結果論ですが新作の「雷電IV」に比べると、その種類は少なかったかもしれません。

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-エンディングで・・・・-
なんと初代「雷電」のMAPが出てきます。初代「雷電」の1面ボス右手前に存在する「ファイティング・サンダーの残骸」が「雷電III」の終着点と誰が想像したでしょうか。歴史あるシリーズならではの演出に度肝を抜かれました。

-ゲームの展開-
「雷電シリーズ」の基本を踏襲し、前半(1~3面)は地上戦で、後半(4~7面)宇宙戦となります。前半面は(主にボス戦)は、「雷電DX」までのシリーズのオマージュ的展開で、後半は「コロニー」「プラント」など、シリーズ初登場の戦闘シチュエーションを用意し、コンセプトを明確に分けていたと思われます。また、佐藤豪さんによるBGMも、前半は「雷電DX」までのメロディ主体の楽曲を揃え、後半は比較的テクノ(ライデンファイターズ)寄りの楽曲を配置・・・と、両作品のファン対応を目指している感が伺えます。

MOSSさんは「今のプレイヤー及び、従来のファンに対しても全対応」を目標を掲げ、ゲームの展開に関して相当神経をすり減らしてベストを追求したとのこと。しかしながら、ユーザー様には当然、開発側のトライ&エラーの積み重ねや、現在の仕様に至った理由付け、経緯を目にする事ができません。つまり、プレイした人によっては、直感的に「広く浅くで中途半端な感じ」や「実験的」等 色々と、思うところがあったかと思います。

結果として「雷電III」は2005年2月のAMショーでの発表をはさみ、同年3月にリリースされ、苦境と呼ばれるアーケード業界において、シューティングというジャンルで数少ない販売的成功を収めたタイトルとなりました。しかし「歴史ある雷電シリーズの続編」として、評価は「肯定的」なもの「否定的」なものプレイした方によって様々でした。

※そもそも「雷電DX」までの時代にはユーザー様の意見を直接見たり、聞いたりする機会が極端に少なかったゆえ(そういった環境自体も皆無)、「雷電III」に限り様々なご意見が出たっ・・・てわけではないでしょうけど。

今まで述べてきた文章から評価の分かれそうなポイントをまとめると、

・ ショットが「彩京シューティング」と同仕様

・ 廃止された「プラズマレーザー」

・「稼ぎプレイの提供」と「ルールのわかり易さ」の両立

・「雷電シリーズ」といえばループプレイ

・従来の「雷電シリーズ」には進行速度に大きな変動が無い

・ 画面左右のスクロールが廃止

・ 象徴的キャラクターの再登場の種類が少なかった

・ 前半と後半でコンセプトを分けていた

といったところでしょうか。これらのご意見は当然のように次回作「雷電IV」開発に反映され、その他MOSS社内で協議し洗い出された様々な反省点(ゲーム内部仕様だけに限らず、開発スタンスやロケテスト期間など)も、次回作で修正、改善されることとなります。

また一部、ご意見として

・良い意味での「毒」が無い

・スマート(正統派)すぎる

・・・といった感想も目にしました。しかし、これについては純粋なシューティングゲームとしての完成度に問題がないという裏返しともいえます。通常(正統派)のシューティングゲームにおける重要な要素「撃つ、避ける」を含めた基本的な部分(ツボ)は「雷電III」は着実に押さえていたわけです。このような「雷電III」の成功事例(良かった部分)は全て「雷電IV」に引き継がれました。

「雷電シリーズとはなんぞや?」その5(雷電III 後編)は以上です。全5回お送りしました「雷電シリーズとはなんぞや?」は如何でしたでしょうか。「まだわかんねーよ!!」「もっと詳しくおしえろ!!」「もう終わりかよ!!」という皆さんは僕よりも気合の入った解説や攻略記事が読める(ほぼ公認サイト)、「NMT」さんのサイト「雷電フリークス」さんへ是非足をお運び下さい!! 今後益々の「新規雷電ファン増加」を心から願っております!!

次回以降は、いよいよ「雷電IV」について、様々な紹介記事を追って書いて行きたいと思います!! どうか発売日までお付き合いよろしくお願い致します。

<以下ウンチク>
●製品版とは微妙に異なる「ロケテスト版 雷電III」の映像を公開!! 「雷電シリーズ」譲りの、リアルで重厚感ある緻密な書き込みは3Dポリゴンになっても変わらぬ魅力を放っていますし、爆発パターンなどもカッコイイです、是非映像でチェックを!!!
http://www.inhgroup.com/kj/raiden3.wmv

●ダブルプレイとはなんぞや?って方は「雷電III」並びに「雷電IV」のハイスコア集計ダブルプレイ部門全国1位保持者「服部」さんのプレイを「THE FLASH DESIRE 雷電IIIのサンプル動画」で確認してみてください!!
http://www.inhgroup.com/image/item/raiden04/raiden04_sample03.wmv

●昨日と今日の「雷電III」に関する記事を読んでから、前回の駒澤社長のインタビューを読むと、より「雷電III」と「雷電IVの製作スタンスの違いや「雷電IV」のコンセプトへの理解度が増します!! 一度読んだ方もこの機会に是非ご再読を。
http://raiden4.air-nifty.com/blog/2008/07/41_0b03.html 

 

 

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2008年9月 3日 (水)

第39回  「雷電シリーズとはなんぞや?」その4(雷電III 前編)

池田@雷電です!!

本日は、「雷電シリーズ」を知らない、若い世代の皆さんのために各雷電シリーズについて紹介記事をまとめる「雷電シリーズとはなんぞや?」その4「雷電III」(前後編2回に分けます)です。

■雷電III 前編■

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1994年リリースの「雷電DX」から、様々な理由によりリリースがストップしていた「雷電シリーズ」。「雷電シリーズ」の開発凍結と時を同じくして、国内のゲームセンターも年々、様変わりをし、既に店舗における売上の大部分は、UFOキャッチャーなどのプライズ機やサテライト型通信ゲームがまかない、ビデオゲーム、なかでもシューティングゲームというジャンル自体、過去(ヘビーユーザーだけ)のものになりつつあった・・・・

そんな2004年11月、突如、MOSSサイト上において、正式な雷電の続編「雷電III」が発表されました。

その後12月まで、少しづつ明らかに発表更新された情報は、

●製作は元セイブ開発スタッフが多数在籍しているMOSSである
●スーパーバイザーとしてセイブ開発の浜田社長が参加する
●タイトー社製Type-X基板を採用する
(グラフィックは全て3Dポリゴンに書き換え)
●新しい武器が実装される
●フラッシュショットシステムという新たなボーナスフィーチャーが追加される
●発売は年明け2005年、12月下旬に秋葉原の某ゲームセンターでロケテストが実施される

上記でした。発表時、胸高まった方も多かったのではないでしょうか?

■雷電III製作テーマ■
「雷電シリーズ」といえば、90年代に一時代を築いたシューティングゲーム。その続編を作るにあたり製作にはスタッフの相当な苦労と葛藤があったと思われます。「THE FLASH DESIR 雷電III」収録の駒澤社長のインタビュー記事を読めばわかりますが、ノスタルジーというよりも、旧来のファンへのアプローチもしつつ、時代に相応した「2005年度版雷電」をつくるというテーマを掲げて製作されました。とはいえ、タイトルに「雷電」という冠を付ける以上、時代にあわせアレンジするにしても様々な「縛り」が発生してしまいます。

また、「雷電DX」リリース時とは業界の状況が抜本的に異なるゆえ、ゲームというジャンルの経済効果やユーザー数、その他様々な時代性を考慮すると、90~94年当時のスタンスやコストそのままでゲームを製作するのは不可能ですし、ましてや、シューティングゲームジャンルは「マニアック」「ヘビーユーザー向け」「ニッチ市場」という認識が強くなってしまったゆえ「歴史あるシューティングゲーム続編」製作にはプロットの時点で問題難題が山積なわけです。

たとえば、

●旧来の「雷電」ファンへのサービスを含め逸脱しない程度の雷電らしい新要素実装

●1996~1998年の「ライデンファイターズシリーズ」ファンへのサービス並びに不自然ではないアプローチ実装

●若い世代に向けて、近年主流となっていた「弾幕系」シューティングゲームとの差別化と、それに負けない楽しさの実装

ほんの少し考えただけで、開発側には、上記のような簡単に結論が出ない難題が提示されます。
※ここにも、今まさに同様の事例で悩んでいるお方が・・・ →■
現実、不特定多数のユーザー様一人一人の心に美化内包された「雷電の続編のイメージ具現化」は物理的に不可能ですし、

●ビデオゲーム稼動インカムの平均値が「雷電DXリリース当時」とは、まるで違うため製作期間を短くし、できるだけオペレーターへ安価で流通させなければならない。(=じゃないと売れないんです)

といった、ゲームの中身以外に、マスタープランの問題も壁のように立ちはだかります。まず、2004~2005に(今もか)シューティングゲームを開発するには、どのメーカーもこのタスクを一番に優先させなければなりません。よって、「最大公約数を拾いあげる」という無難そうな作業も、「7作品存在するシリーズの何を持ってして最大公約数か?」という洗い出しさえ、正直困難と言わざるを得ません。

下記は開発初期段階に業者向けに作られた「雷電III」のフライヤーです。

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ロケテストや発売verでは実装されなかった「かすり」システムの記述があります。その他、一部武器の名前が異なっているのも確認できます(ニュークリア+ホーミングでニューホーミングミサイル!!)。上記からもわかるよう、いかに「雷電III」が限られた時間の中で、試行錯誤を繰り返して開発されたタイトルかが、理解できるわけです。

前編は以上です。次回第5回「雷電III 後編」は、「雷電III」に追加された新たな要素について紹介と検証をしていきたいと思います。

引き続き当ブログをよろしくお願い致します!!

<以下Xbox360 雷電IV 関連リンク>
●INHブログ 3大シューティング祭りレポートまとめ

http://www.inhgroup.com/blog/index.php?itemid=182

●さざなみ壊変 3大シューティング祭りレポート
http://sazanami.net/#20080831

●杏野はるなの日常(9月1日エントリー)
http://blog.livedoor.jp/tokyozukananno/archives/51060692.html

●ゲームショップ1983 雷電IV 販促協力募集 記事
http://sp-game.cocolog-nifty.com/38/2008/08/34_d2ab.html

●9月7日(日)bar 16SHOTS 2nd anniversary party
TOKYO GAME UNIVERSITY『東京ゲー大』

http://blog.goo.ne.jp/16shots/

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2008年8月26日 (火)

第31回 「雷電シリーズとはなんぞや?」その3

池田@雷電です!

本日は、「雷電シリーズ」を知らない、若い世代の皆さんのために各雷電シリーズについて紹介記事をまとめる「雷電シリーズとはなんぞや?」その3「雷電DX」です。

■雷電DX■

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「雷電II」の発売より一年(実質一年も掛かってなかったと思います)「雷電II」のニューバージョン的な位置付けの作品「雷電DX」(1994年)がセイブ開発よりアーケード(ゲームセンター稼動)用ゲームとしてリリースされました。

前作「雷電II」は出荷後、都心部を中心にかなりの高インカムを記録していましたが、当時のゲームセンターは1991年「ストリートファイターII」の大ヒットで幕を開けた対戦格闘ゲームブームの真っ盛り。(因みに雷電IIと同時期に稼動していた格闘ゲームは、餓狼伝説スペシャル、スーパーストリートファイターII、バーチャファイター、サムライスピリッツなど怱々たるラインナップです)流石にそんな時代性からか、シューティングゲーム自体の商品(稼動)寿命が圧倒的に短くなってしまったため、「雷電II」は多くのロケーションから半年もたたぬうちに撤去を余儀なくされるという事態に陥りました。

※当時のゲームセンターは今では考えられないほど、景気がよかったためオペレーター(ゲームセンター)側のゲームに対する「撤去」か「続投」かの判断基準が高すぎた・・・という時代背景や、オペレーター側の初代「雷電」は高インカム大ヒットというイメージが強すぎたため、「雷電II」への評価の目を厳しくしてしまったことが要因であり、決して「雷電II」自体が駄作だった(稼がない)という意味ではないんです。。

そこで、登場したのが「雷電DX」です。ゲームの基本部分は「雷電II」をベース(MAPやボス等を100%流用+α)としながらも、「雷電II」での反省を活かし、ゲームシステムを更に強化洗練し、顧客全対応を目指して開発されたタイトルとなります。

以下に、その洗練されたアイデアやシステムをご紹介します。

■コースセレクト
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「雷電II」では様々な顧客/ニーズにこたえるべく、生み出したアイデアをゲーム内の場面場面に散りばめていくという手法が取られていました(前回の記事参照)、しかし、この手法ですと、全部のプレイヤーが開発者の用意したとおりに遊んでくれる保障はありませんので、(一部の予想を超える達人)プレイヤーに対しキチンと作用しなかった場合、その人にとってゲームそのものの評価が完全にマイナスに働いてしまう可能性も伴う訳です。

・・・えっと、わかりにくいので
もっとわかりやすく例を挙げちゃいます。

例1)1UPが何回も取れちゃうからボロボロのプレイでも1000万点取れちゃうじゃん。
※事実、雷電IIの某誌集計は初回で集計終了してしまいました(涙)

例2)ボンバーモード?苦手なところで使いまくって力押しできちゃうじゃん。
そのおかげで上手い人が多いゲーセンだとプレイが長いから待つのがめんどい。

※確かに攻略DVDの「ふるえんもさんのプレイ」みたいに
ノーミスノーボム前提なら回避に相当な気を使わなけりゃいかんのですけど、
人によっては後半から攻略が急に大味になってしまう=ツマンネ になる可能性も。

上記を踏まえ、「雷電DX」は「練習」「初級」「上級」と腕前に併せて3種類のコースを選択できるのが最大の特徴です。ポイントは自分の「腕前」を「自分で判断」して「自分で選ばせる」というところ。プレイヤー側からしても非常にわかりやすく、とっつきやすいシステムが採用されています。更に「練習」をクリアしたから次は「初級へ」という自分の腕前上達を実感できるので、モチベーションも高まりますし、ゲームの稼動寿命増加にも一躍かっています。開発者的にも、割り切って腕前別にコースを分けることで以前よりも、各調整はしやすかったのではないでしょうか。

■機体性能差
「雷電DX」も1P側と2P側で、機体性能が異なります。前作では装備と復活時のシステムを選択する仕様でしたが、「雷電DX」では自機の「移動速度」が異なります。
パターン重視(戦車位置丸暗記ともいう)なゲーム性だった前作と比較すると、2P側は横移動が早く、弾の切り返しがしやすいので、初級コースなら4面くらいまでは、弾避けにアドリブが利くようになりました。
※また上級者的にも後述する追加された様々なボーナスフィーチャーを獲得するのに
この機体は絶対に必要なわけです。

因みに1P、2P共にコースセレクト時にボンバー装備も「通常」か「拡散」か選択して遊ぶ事が出来ます。コースセレクト+機体セレクトで細分化したニーズに隙無く応じようとしている姿勢が伺えます。

■ボーナスフィーチャー

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「雷電DX」には、これまでの「雷電シリーズ」よりも、
「練習」コースを中心にボーナスフィーチャーが沢山実装されました。

・リザルト時に「敵破壊率」「レーダー破壊率」「気合い」の追加
・大型戦車の弾をすり抜けると5000点
・赤いスポーツカー(全4種類/早回し可能)
・列車ボーナス(連結列車が全部車庫から出てきたところを破壊すると高得点)
・勲章(一瞬光ったときに取得すると高得点)
・ミクラス(一瞬動きが止まったときに取得すると高得点)
・面クリア時の自機位置あわせボーナス
・ボス破壊タイムボーナス(早く壊せば高得点)
・隠しレーダー(全3種類)

ざっと、あげただけでもこれだけの数があります。
当時としては、これだけボーナスフィーチャーが詰った
シューティングゲームも珍しかったのではないでしょうか。

※これらボーナスフィーチャーの増加の傾向は以後、外伝作品である「ライデンファイターズシリーズ」に引き継がれ、「雷電シリーズ」のほうは「雷電III」で原点回帰的にスリム化がなされました。

ボーナスフィーチャーはゲームによって様々なものがありますが「雷電DX」(以降のシリーズもですね)に実装されたフィーチャーは、少しばかり乱暴な括りで恐縮ですが「ツインビーのベル」や、「レイシリーズのロックオンレーザー破壊倍率」などとは異なり、「ゼビウスのSPフラッグ」や「スターソルジャーのデライラ同時破壊」といった一見すると脈絡がなく、ゲーム進行に密接に関与しないものがほとんど。つまり、「やってもやらなくても基本的にゲームが成り立つ」というある種の自由さと、上級者には「高得点獲得の快感や楽しさ」という、2つの点が作品に奥行きを与えています。

さらに「雷電DX」のニクイところは、それらボーナスフィーチャーが「練習コース」に集約しているところです。つまり初心者が一番プレイするであろう「練習コース」にボーナスを沢山仕込むことにより、前述の「高得点獲得の快感や楽しさ」に初心者にも気付いてもらおう!という開発者の意図が見えるわけです。事実、稼動当時、自分もその罠に引っかかったクチで、気付けば「練習コース」のキャラバンシューティング(幼少時に燃えた!)的魅力にひかれ、ヘタクソながらも友人同士で「今日は何点いったぜ!!」などと凄く盛り上がっていました。・・・・これって、今思い返すと、インベーダーゲームから脈々と続く、シューティングゲームというジャンルが持つ本来の楽しさや魅力だったと思うのですが、いかがでしょうか。

※主観ですが 昨今のシューティングゲームマニアの会話って「何点出せないと駄目、ヘタクソ、氏ね!!」「あそこのパターンが甘い!!駄目、クソ!!」・・・とか、なんか殺伐としてる方が多いので凄く悲しいのです。

■ミッションアドバンスド
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「雷電II」を初回集計で1000万点取れちゃうようなスーパープレイヤーに向けて「上級コース」以上の高難易度な挑戦状が「雷電DX」には隠されていました。各コースは基本的に普通にプレイするとそれぞれのコースに終了ポイントがあるのですが、練習コースでとある条件を満たしつつクリアすると、難度のアップした初級コースを継続してプレイ可能になり、更にそのまま、ある条件をみたして初級をクリアすると、もっと難しい上級コースの後半へ・・・と、コースが繰り上がり(ミッションアドバンスド)し怒号の弾速を誇る「雷電DX」を遊ぶ事ができます。

「雷電DX」は「シューティングゲームの原点的」楽しさと「顧客ピラミッドの頂点的プレイヤーへの挑戦状」を両立している数少ないタイトルであり、好評を博しました(つうか、いまだに結構ゲーセンで見かけますよね)。以後のシリーズである「雷電III」「雷電IV」の目指すベクトルもここに源流があるといえます。

<以下ウンチク>
●「雷電DX」のBGMは「雷電」と「雷電II」からベスト的選曲がなされてました。前作同様、担当コンポーザーは佐藤豪さん。佐藤さんによる「雷電」楽曲のYM2151アレンジも素晴らしく、旧曲ながらとても新鮮でした。また家庭用(PS)版「雷電DX」も渾身の移植作として有名ですが、こちらでは、佐藤さん他2名のコンポーザーによる「ニューリリース」という全くの新曲を聴くことができます。この度、「Xbox360雷電IV同梱サントラCD」に収録された「この曲」は、前述の「家庭用 雷電DX ニューリリースの楽曲REMIX」となります。

●「雷電DX」は現在記録に残る最終到達地点(練習コースからの繰り上がり集計※面数優先)は「4周目の8面」となっているようです。つまり、

【練習(全1面)→初級(全5面)→上級後半(全3面)】
→【上級(全8面)】→【上級(全8面)】→上級の8面

まで到達しているということになります。 ※【 】を1周とカウントします。 最初4-5と書いていましたが、NMT8.2iさんの指摘により修正しました。ありがとうございます!

ここまでくると常人の目には止まらないほど、弾速が早く、難易度はMAX状態です。そんな地獄のような「雷電DX」高次周の世界を「THE ACES HIGH 雷電」【雷電DX練習コースのサンプル動画】で是非確認してみてください!!(プレイヤーはNMT8.2iさん

というわけで、次回「雷電シリーズとはなんぞや?その4」は、いよいよ開発がMOSSさんに移った「雷電III」について記事を書きます!お楽しみに!!

<以下Xbox360雷電IV体験会レポート>

●実績の達人が雷電IV全実績リストを公開!!
http://hgqp.blog44.fc2.com/

●ミカドの神様と七星さんのレポート記事
http://blog.mi-ka-do.net/?eid=780535 

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2008年8月21日 (木)

第25回 「雷電シリーズとはなんぞや?」その2

池田@雷電です!

本日は、「雷電シリーズ」を知らない、若い世代の皆さんのために各雷電シリーズについて紹介記事をまとめる「雷電シリーズとはなんぞや?」その2「雷電II」です。

■雷電II■

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世界中に2万以上販売され大ヒットした前作「雷電」から3年(1993年)、満を持してアーケード(ゲームセンター稼動)用ゲームとしてリリースされたのが「雷電II」です。

基本的なシステムや、ステージ構成などはほぼ前作を踏襲。
パッと見の目新しさといえば、後に「リーマンレーザー」というスラングを生んだ「新装備 プラズマレーザー」の追加くらいでしょうか。しなしながら、ゲームの中にはセイブ開発らしい様々なアイデアが実装されている力作です。

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シリーズものの宿命で「雷電II」はゲームの難易度調整が非常に難儀だったことが予想できます。 つまり、3年間の間に前作「雷電」には

・「1000万点」を出せるプレイヤー(顧客1)
・「1周クリア」程度のプレイヤー(顧客2)
・「3面」から「5面」まで到達できるプレイヤー(顧客3)

上記のような顧客が沢山付いてしまったわけです。 もちろんそれに加えて、はじめて「雷電II」を遊ぶプレイヤー(顧客4)も存在するため、「雷電II」も前作同様ロケテストがかなり長期に渡って慎重に行われていました。

前作を遊び尽くしたファンを含め、全てのユーザーを納得させる・・・・
「雷電II」開発陣が頭を悩ませ実装した様々な一部(実験的)アイデアを紹介すると、

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■拡散ボンバー
前作の投下型ボンバーよりも発生の早い(ほぼ一瞬)ボンバー。
緊急回避として使用可能。

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■プラズマレーザー ※雷電IVで復活した装備です!!
連射もほどほどで耐久力のある敵をロック(追尾)し、攻撃を与え続けることができる武器。まとわりつくような挙動で発射されるので周りのザコも巻き込む事が可能。

この辺は明らかに(顧客4)に向けての(掴み的)アピールです。
※もちろん拡散ボンバーは(顧客1~3)も納得ですけど。
プラズマレーザーは普通の女の子である「七星」ちゃんも使ってましたから
狙いは間違ってないと思って良いでしょう。

■1UPアイテム
ある条件で出現する、残機が追加されるアイテム。
前作では出現がランダムでしたが(電源パターンで安定もできますけど)「雷電II」では条件を満たせば必ず出現するようになりました。 周回を何周重ねていても、何機失っていても、条件さえ満たしていれば必ず出現します。

■機体性能差
詳細は省きますが「雷電II」は1P側スタートと2P側スタートで初期にストックしているボンバー装備と、ミス時の復活システム(その場or戻り)が異なります。
つまり、現代で言うところの機体セレクトの「はしり」ですね。

この変更は明らかに(顧客2~3)への配慮です。 「パターン構築」の渦中にある中級者にとって残機増えはかなり重要ですし、復活が戻りであれば、パターン構築の練習もできますからね。

■ボンバーモード
道中アイテムキャリアーから出現するアイテムがとある場所(アイテム出現テーブル)でボンバーのみになる。 この状態では装備変更はできない上、ミス後の復活がかなり難しい。

(顧客1)殺しです(笑)既に「前作は1000万点当たり前」というプレイヤー陣に戦車配置とボス攻略以外のところでプレッシャーを与えてくれました。 因みにこの状態中にミスすると、復活時のフェアリーが出すアイテムも全部ボンバーになります。

・・・・などなど、基本は初代「雷電」を踏襲(踏襲=普通に遊ぶ分には十分過ぎるほどの完成度の上)しつつ様々な工夫やアイデアが実装されていたわけです。
もちろん上に列挙したアイデアが例に挙げたような、それぞれの顧客に対し全てが狙い通り正常に機能していたかというとそうではなく、ここで出た反省点は次回作「雷電DX」に活かされます。

しかしながら開発陣の用意したこれら調整にズバリと、ハマってしまったプレイヤーにとって「雷電II」は一生忘れ得ない名作となっており、2008年現在でも酒の席に雷電好きが数人集まれば「雷電IIの調整は是が否か!?」が議論のテーマになる場合が多いです(笑)

<以下ウンチク>
●「雷電II」よりBGM作曲がおなじみの「佐藤豪」氏が担当となりました。
雷電IIの1面曲は、今でも人気が高く、当作のアッパーバージョン的続編「雷電DX」では唯一流れなかったため、「1面曲が聞けるから 雷電IIが最高!!」という方も多いです。因みに同曲は「雷電IV」の最終ステージにも採用されています。否が応でも盛り上がる演出ですね。

●ほとんど前作を踏襲・・・とか文中には何度も書いてますが、「雷電II」のグラフィックは、前作より数十倍(INH比)もパワーアップしています!!
3面海上ステージにおける半透明の処理とか、今見ても凄まじい技術力ですし、飛び散る破片、敵機の墜落パターン、海に広がる波紋等々、この手のエフェクトに関して「雷電シリーズ」は、いまだに最高峰のシューティングゲームと呼べるのではないでしょうか。

●「雷電」のヒットを受け、当時、様々な中小メーカーが「雷電クローン」と呼ばれる二番煎じ的縦シューティングを乱発。 
この時期のゲームセンターは、タイトルこそ伏せますが「雷電みたいなシューティング」だらけになっていました。しかしながら「雷電II」がリリースされた後、それら亜流タイトル達があっと言う間に駆逐されたのは痛快でしたね(笑)

●「雷電II」において(正確に確かめる手段が無いので暫定的ですが)世界ではじめての1000万点到達プレイヤーは「THE FLASH DESIRE 雷電III 」の担当プレイヤーでもある「木之本 まい'ん」さん。 数十人のギャラリーが見守る中、
ボロボロになりつつ1000万点を達成、その瞬間、居合わせた全員がスタンディングオベーションで氏を大祝福したという。 達成時の状況はスコアラー界では有名なエピソードとのことです。
また「THE ACES HIGH 雷電」「雷電II」のプレイ(ボンバーモード回避調整が神!!)を担当して頂いた「MOL=CKDF=ふるえんも」さんは「雷電II」はスコアラーとして活動する切っ掛けをくれたタイトルゆえ、思いいれがもの凄く強いとのことでした。

※上記スーパープレイヤーさんの名前をクリックすると各サンプル動画がDLできます。

「雷電II」は結果として稼動期間の短いタイトルではありましたが(理由は次回)、多くの人に、愛されていたゲームだということがわかります。

というわけで、次回「雷電シリーズとはなんぞや?その3」では「雷電DX」について記事を書きます!お楽しみに!!

※「雷電シリーズとはなんぞや?」その1はこちら

なお、明日は雷電tube第5回をUPします!! WASi303さん(サクセス)、佐藤豪さん、さかりまさき さん(5pb)が登場予定!! お楽しみにー♪

 

 

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2008年8月16日 (土)

第20回 雷電シリーズとはなんぞや?その1

池田@雷電です!

本日は、そもそも「雷電シリーズ」ってどんなシューティングゲームなの?
という不届き(おっと)もとい、若い世代の皆さんのために
各雷電シリーズについて順を追ってコラム記事を紹介いたします!

■雷電■

Raiden

セイブ開発が1990年にアーケード(ゲームセンター稼動)用ゲームとしてリリースした縦スクロールシューティングゲーム。
当時のバブリーだった業界内の「大作主義」の流れと真逆を行く、シンプルな内容ながら、国内だけでなく世界中に2万枚以上出荷する大ヒットを記録しました。

<以下ウンチク>

「THE FLASH DESIRE 雷電III(攻略DVD)」のブックレットにもあるように、過去に出ていた様々なシューティングゲームの
「無駄」「いらないもの」=「ストレス」を排除した結果が、
現在も続く、雷電シリーズのシステムの源流となっているのです。

また、初代雷電は今の時代からはちょっと考えにくいほど、ロケテストに長い時間を費やした作品でもあり。
テンポの良いステージの長さはどのくらいなのか?
人間は手連射でどのくらいの時間ボスと闘えるのか?
高インカムを持続させるために必要なものとは?

・・・・このような妥協のないこだわりが生んだアイデアの実装と、
様々なトライ&エラーの繰り返しによるデータ蓄積が、雷電シリーズの大きな武器でもあるんです。

次回のコラム記事では「雷電II」について書きたいとおもいます!!

引き続き当ブログをよろしくお願い致します。

 

 

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