東日本大震災で発生した災害廃棄物(がれき)の広域処理をめぐり、宮城県は25日、可燃物の受け入れ要請を、すでに交渉中の東京都や青森県など6都県に限定する方針を示した。関西広域連合(連合長・井戸敏三兵庫県知事)の役割分担により、兵庫県の各自治体は宮城県分のがれき受け入れの可否を検討してきたが、事実上の白紙となる。これに伴い、大阪湾広域臨海環境整備センター(フェニックス)が進めてきた尼崎沖などへの焼却灰の埋め立て計画も中止される見通し。
宮城県が災害廃棄物処理実行計画の2次案として発表した。
同計画では、県内処理を加速した結果、広域処理が必要な量を当初の3分の1以下の100万トンと推計。中でも可燃物と木くずなど再生利用分は4分の1の57万トンに圧縮された。不燃物は4万トン増の43万トン。
宮城県のがれきは東京都や青森県、茨城県など5都県がすでに約14万トンを受け入れ。さらに北九州市が可燃物の受け入れ準備を進めており、宮城県の村井嘉浩知事は「可燃物は受け入れにめどがたった」と説明。新たな要請はせず、交渉中の自治体に受け入れ量を増やすよう求める。
これを受け、環境省は同日、フェニックスでの最終処分を前提に受け入れを検討していた関西2府3県と政令市の神戸市、京都市などに対し、「今後、広域処理の要請はありません」と連絡した。同省は今月末、広域処理の方針を正式発表する。
震災がれきの受け入れをめぐっては、関西広域連合が復興支援の一環として検討。兵庫県は今年4月、環境省の要請を受け、県内自治体に受け入れを打診し、神戸、尼崎、西宮、姫路各市など焼却施設のある14市4町3事務組合が「検討中」と回答していた。フェニックスは同日、環境省に尼崎沖など2カ所の安全性評価を申請したばかりだった。
一方、コンクリート片などの不燃物は受け入れ希望が少なく、処理のめどは立たないままで、宮城県震災廃棄物対策課は「引き続き全国の自治体に受け入れをお願いしたい」とする。
兵庫県環境整備課は「これまでは焼却できる可燃物を前提に放射性セシウムの基準値などを検討してきた。不燃物となれば一からの検討になる」と話す。
(木村信行)
(2012/07/25 23:20)
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