おおい町商工会と町観光協会が、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の早期の再稼働を求める要望書を町と町会に提出していたことが12日分かった。運転停止によって町内のさまざまな業種が業績悪化に陥っている現状を訴え、安全を前提とした再稼働と原子力政策の堅持を求めている。
時岡忍町長、町会が再稼働について判断する際の重要な参考になるとみられる。同日開かれた町会の全員協議会で明らかになった。8日に提出された。
要望書は、長期運転停止は原発に依存する地元全体の景気や雇用に多大な影響を及ぼし、経済が疲弊する状況にあると説明。再稼働すれば地元経済のみならず、電力消費地への安定供給や日本経済の再生につながると指摘している。
町内の土木建設、製造、卸・小売り、飲食・宿泊など各業種の厳しい業況や切実な声を記載。原発の定期検査に携わる機械メンテナンス会社は「4月以降の仕事が全くの白紙で、最低1年以上はなく会社存続が危機的な状況」と訴えている。原発関連の作業員の宿泊に100%依存している民宿が少なくなく、廃業も出ているとした。
立地地域に対する風評被害により観光客、釣り客の減少も顕著で、運転停止が長期化する場合の金融・財政面の強力な支援措置や、緊急雇用対策、消費対策なども要請した。原発の安全面では、原子力規制庁の早期発足などにより必要な安全対策が遅延しないよう求めている。
この日の全協で全議員に配られ、町会は「判断で根拠になるもの」との認識。時岡町長も「議会の集約とともに、各種団体の人の話なども聞いて判断したい」との考えを示している。