最終更新: 2012/07/27 00:44

FNN各局フジテレビスーパーニュースニュースJAPANスピークスーパーニュース WEEKEND新報道2001

RSS

オスプレイの飛行マニュアルについて、岡部 いさく氏の解説です。

安全性に懸念が広がる一方のアメリカ軍の輸送機「オスプレイ」のフライトマニュアルについて、軍事評論家の岡部 いさく氏の解説です。

(オスプレイは、どういうシステムで動くのかということですが、これがその図ですね?)
そうです。これが、オスプレイの特徴の1つを示している図なんですね。ここがパイロットの操縦、そしてこちらが機体の動きなんですね。そして問題は、両者の間なんです。これを見てください。パイロットが操縦かんを動かしますと、その動きをコンピューターが読み取るんですね。そしてその動きを、機体側のたとえば回転翼の動きですとか、それから飛んでいる時の状態、スピードによっては飛行機モードの翼の動き、これに翻訳するんですね。そして、パイロットの操縦をコンピューターが飛行機の動きに変えていくと。つまり、パイロットと副操縦士、そしてコンピューターの3人がかりで飛ばしている飛行機、それがオスプレイというわけなんです。

(非常に複雑なシステムといえると思うのですが、実際にオスプレイはどのような飛び方をするのかというのが、こちらの図ですね?)
オスプレイの特徴は、何しろこのヘリコプターのように垂直離着陸して、飛行機のように飛んでいく。そこなんですが、これが垂直離陸の時の手順を示した図です。まず、高度6メートルぐらいまで上昇したところで、いったんホバリングして。

(垂直に飛び上がる?)
そうです。そして、エンジンのチェックをするわけですね。そしてエンジンが問題なく動いていれば、だんだん速度を増して、エンジンを傾けていって、飛行機モードへと切り替えていくというわけです。
実際、4月にモロッコで起きた事故は、この飛行機モードへの切り替えの間に起きたといわれていますね。

(沖縄の普天間に配備された場合も、このような垂直離着陸をする可能性がある?)
ええ、そうです。滑走路がありますよね、普天間基地には。そういう時には、この回転翼を若干前に傾けて、滑走しながら短い距離で離陸する。こういうやり方をしたほうが、エンジンに負担も少ないですし、それから重量にも余裕ができます。

(その飛び方の可能性が高い?)
そうですね。しかし、実際にあれですが、今度いろいろな日本各地で低空飛行していきますね。

(あちらに飛行ルート、6つ設定されてますね?)
ああいうルートを使って、低空飛行訓練をしたり、あるいは演習場に着陸することもありますよね。そういう場合には、実戦の時と同じように、この垂直離着陸のモードで離着陸することになるでしょう。実際、沖縄の北部の演習場には、この垂直離着陸用のヘリパットが建設されていますね。

(可能性がないとはいえない?)
そういうわけですね。

(こちらの図は何でしょうか?)
これは飛んでいるスピードと、それからエンジンの角度の関係を示している図なんですね。つまり、パイロットはこれを頭に入れて、どういうスピードで飛んでいる時には、エンジンをどこまで動かしていいかを決めるわけです。実際には、こういうふうに赤い線がしてあって、これがプロテクション。つまりコンピューターが、こちらにはこれより外にははみ出さないように規制するという、そういう機能もあるわけですね。

(白い枠内でということ?)
この白い枠内が、つまりこのスピードで飛んでいる時は、エンジンの角度をここにしていいよという、そういう図なんです。

(なかなか難しい感じがしますが、やはり懸念されるのが緊急事態の対応です。『最終的にはパイロットの腕次第』というものが気になるのですが?)
オスプレイがヘリコプターモードで飛んでいる時に、両方のエンジンが止まる時の緊急操作、オートローテーションの時の降りていくスピードをちょっと今、比較してみました。実際、オスプレイが滑空状態で降りていくことになるんですが、その時の落ちていくスピードというのは、90km/hなんですね。従来のヘリコプターだと8km/h、10倍以上のスピードで落ちていきます。この時速90kmの落下速度というのは、最近の遊園地にある垂直落下型の絶叫マシン、あれのスピードにほぼ匹敵します。

(そんなスピードで落ちていくということですが、これはなかなか、非常事態で立て直しは厳しい?)
そうですね。最終的にはオスプレイ、最後の段階でちょっと機首を上げてスピードを殺して着陸しなさいというふうに、マニュアルには書いてあるんですが、同時にさっき紹介があったように、うまくいくかどうかは、技術とタイミングに左右されるとなっていますね。

(そのあたりが難しい部分なのかもしれませんね?)
どのみち、大型のヘリコプターでは、このオートローテーションで無事に着陸するのは難しいといわれていますから、その点では、オスプレイが特にというわけでもないんですが、どのみちオートローテーションで降りるというのは難しいですね。ですから、むしろ普通の飛行機のように滑空しながら降りるほうが、むしろ無事だろうというふうにマニュアルでも示唆されています。

(最新の技術なだけに、難しさも潜んでいるといえそう?)
そうです。

(07/27 00:22)


[ high / low ]

「社会」の最新記事

最新記事

Today's Question

ロンドンオリンピックでJOCが掲げる目標「金メダル数世界5位以上」は達成できると思いますか?

はい
いいえ
達成してほしい
わからない

送信

結果をみる

投稿する

記事に対する意見・ご感想や情報提供はこちらから

映像の投稿はこちらから

スマートフォンアプリで「すぱにゅ〜クリップ」に動画・写真を投稿・閲覧できます

Windows Media Player」または「Flash Player」をインストールして、動画をご覧ください。