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【社会】

福島の男性婚活厳しく 県外女性、放射能に不安

2012年7月25日 18時14分

お見合い相手を紹介する会員用ホームページ。震災後、福島県内の男性への断りの返事が目立つようになった=福島市で(一部画像処理)

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 福島の原発事故以降、福島県内の男性が結婚相談所を通じて県外の女性に見合いを申し込んでも断られるケースが大幅に増えている。「住所を理由に、門前払いに近い状況」といい、原発事故の影響が「婚活」にまで影を落としている。

 福島市内で結婚相談所「スプリング」を経営する丹治逸雄さん(68)は「他県の女性が福島県に嫁ぐのに、放射能のことを考え、不安を感じているのだろう。でも、会ってさえもらえないとは」と嘆く。

 相談所では毎月50件前後、県内の男性会員から県外女性にお見合いを申し込んでいる。会員用ホームページで住所や職業、年収、本人の写真などの条件が合えば、対面する流れだ。原発事故以前は3件に1件ほどは女性の了承を得ていたが、「今は10回に1回OKなら、いい方だ」。

 県内の女性会員に関しては、男性会員に比べて少ないこともあり、県外からの見合い申し込みはそれほど減っていないという。

 丹治さんは月1回、東北各地の相談所経営者が集まる仙台市の会合に参加していた。会員用のホームページと並行しながら、情報を交換し条件が合う男女を探してきたが、福島県内の男性と見合いをする女性がほとんどいないため、参加をやめた。今年1月には「風評被害で相談所の売り上げが減った」として、東京電力に補償を申請し、損失の7割ほどが認められた。

 福島県内では他の地域でも同じ状況。会津若松市の結婚相談所の男性経営者(44)は「とにかくすべて断られる。こんなにひどいとは」と憤る。相談所は昨年10月にオープン。男性会員が県内女性に申し込んだケースでは1〜2割はOKだったが、県外女性とは一度も成立していない。

 相談所では「会津地方の放射線量は関東と変わらないレベル」と積極的に説明しているものの、効果はなく断られ続けている。

 40代の自営業の男性は、県外女性に100回以上申し込み、すべて断られた。一時期はショックで落ち込んでいたが、6月に福島市であったお見合いパーティーで同じ福島県内の女性と知り合い、交際を始めている。

 独身で福島市内で保育園を経営する長沢明雄さん(30)は「将来の結婚や恋愛でさえ不利になるのでしょうか。福島の人間だからといって差別されるのはたまらない。他県の人はいたずらに不安がらず、もう少し冷静に考えてほしい」と語った。

(中日新聞・坪井千隼)

 

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