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国際
【外信コラム】赤の広場で 言葉から非民主的?
2012.7.26 03:15
[外信コラム]
ロシア語には外国人が違和感を覚える表現が少なくない。「インタビューを与える」というのが一つ。英語や日本語の「インタビュー」は記者が対談相手に質問を投げかける行為、あるいは質問と答えをやりとりする場のことを想定していると思う。ロシア語では対談相手、特に高位の者が「一方的に与えるモノ」と認識されている。
ロシアでいかにメディアの役割が低く評価されているかを映していよう。
「スペシャリスト」や「マネジャー」を名乗る人にも注意が必要だ。一瞬、偉い人かと思ってしまうが、何のことはない。学校を出たての店員がスペシャリストの肩書をもっていたり、部下が1人もいないのにマネジャーだったりということは全く珍しくない。
肩書が大好きなのはソ連という超官僚社会の名残だろうか。ロシアには第1副首相を含めて実に7人もの副首相がいる。
英語のWeにあたる「私たち」もやっかいだ。ロシアでは専門家も一般人も、自国の対外政策について語るときに「私たち」を使う。初めから政権と自分の立場を混同しているわけで、そのうちに「私たちは島(北方領土のこと)を渡さない!」などと興奮するのだ。
ロシア語には、民主主義や市場経済の正常な発展を妨げる性質がなかろうか。(遠藤良介)
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