大津いじめ事件 男子生徒の父親、息子の遺影を胸に市長と会見
滋賀・大津市でのいじめ事件で、大津市の越 直美市長が初めて遺族の前で謝罪した。自殺した男子生徒の父親は、わが子の遺影とともに謝罪の言葉に耳を傾けた。
越市長は「昨年(2011年)の調査ですね、不十分でずさんだったことについて、深くおわび申し上げたいと思います」と謝罪した。
男子生徒の自殺から9カ月。
ようやく実現した遺族との面会は、大津市の越市長の謝罪から始まった。
遺族側は、謝罪したいとする越市長に対し、「何に対しての謝罪かわからない」として、いったんは面会を拒否した。
これに対し、越市長は、あらためて男子生徒の自殺後に行われたアンケート調査や、その後の対応が不十分だったことについて謝罪したいという意向を示し、きょうの日を迎えた。
越市長は「そういった調査が不十分だったことを踏まえまして、あらためて外部の有識者による調査委員会を立ち上げて、調査をしたいと思っています」と述べた。
25日の面会で、報道陣に撮影が許されたのは冒頭のみ。
カメラが退室したあと、男子生徒の父親が入室し、越市長の正面に着席した。
越市長が、謝罪の言葉を述べようとすると、父親は「息子にも聞かせたいので」と言って、男子生徒の遺影を胸の前で抱え、市長の言葉に耳を傾けた。
そして、越市長は「亡くなられた息子さんについて、深い哀悼の意を表したい。真実が何だったのか解明したいと思うので、第3者委員会を設置することについて、説明したい」と述べた。
一方、父親は「市長の話を聞いて、学校現場や教育に関する真剣な思いを感じた。1日も早い解明をお願いしたい。真実をアンケートに書いた生徒の思いを無駄にしてほしくない」と語った。
また父親は、男子生徒が通っていた中学校について、「いじめとしての危機管理がなかった。親が安心して子どもを預けることができない」と批判した。
「加害者と学校に殺されたのではないかと思っている」と、あらためて強い怒りと不信感を示した。
そして、越市長が設置を表明した第3者委員会については、公平性を保つためとして、その人選に要望を出した。
父親は「委員の半数を、こちらの推薦する方にしていただきたい。中立・公平というのは、客観的には数字でしか見えない」と語った。
この要望に対し、同席していた文部科学省の担当者は、数に関する指針はないと返答した。
こうした対応について、遺族側の弁護士は、面会後の会見で「(遺族は)今回の調査委員会の調査の公平性について、『文科省の方で、しっかりとイニシアチブをとって、確認しながら進めていただきたい』と。(文科省からは)明確なお答えをいただくことはできませんでした。その意味において、若干、消極的だなという印象はぬぐえませんでした」と述べた。
一方、越市長自身は、委員の人数に関する要望について、検討することを表明した。
遺族側が示した3人の有識者についても、公平性や専門性などを考慮して、検討したいとしている。
越市長は、遺族との面会後、「まず、ご遺族の方にお会いして、謝罪をすること。そして、直接お話をすることは、出発点として必要だったと思ってますし、ここからご遺族の方とも意思疎通をして、委員会をなるべく早く立ち上げたいと思っています」と述べた。
第3者委員会のメンバーとして遺族側が推薦した有識者の1人、教育評論家の尾木直樹氏は、遺族側から打診があったことを明らかにした。
尾木氏は「(遺族側の)弁護士から依頼がありまして、『引き受けてもらえないか』と。『力はないけれども、全力で引き受ける』と伝えてあります」と語った。
そして、第3者委員会としての調査内容について、「(加害少年やその家族からの聞き取りは?)ぜひお会いしたいと思います。いじめという行為を、(加害少年は)遊びと捉えているわけですよね。(もしそう思っているなら)やってはいけない遊びとか、されては嫌なふざけとかあるんだよと、本当のイロハをきちっと伝えたい。それが伝わらないような子どもは日本にはいない。(さらに、加害者の)お父さんやお母さんが、どう考えているのか率直に聞いてみたい」と話した。
第3者委員会での議論について、越市長は、遺族など関係者に対し、公開することも検討しているとしている。
およそ1時間半に及んだ25日の面会後、父親は弁護士を通じ、「市長との会見の中で、事実を究明する姿勢が見られたことを評価しております。調査委員会に遺族の意向が反映され、公平性が担保されるのであれば、遺族として、調査結果を十分信頼することができます。調査委員会には、1日も早い、真相の究明を期待しています」とコメントを発表した。
遺族側は、越市長との会見の中で、第3者委員会の設置について、「一刻も早く設置をしてほしい。公平性を保つため、委員の半数を遺族側からの推薦としたい」としている。
そこに名前が挙がっているのは、教育評論家の尾木直樹氏、和歌山大学の松浦善満教授、兵庫県弁護士会の渡部吉泰氏の3人。