トップページ社会ニュース一覧いじめ自殺で大津市長が遺族に謝罪
ニュース詳細

いじめ自殺で大津市長が遺族に謝罪
7月25日 19時32分

いじめ自殺で大津市長が遺族に謝罪
K10038384211_1207251213_1207251221.mp4

大津市で中学2年生の男子生徒が自殺した問題で、大津市の越市長が、25日、初めて生徒の遺族と面会し、「自殺を巡る学校側の調査が不十分だった」と謝罪しました。

面会は越市長の要望で行われ、自殺した男子生徒の父親と弁護士が25日午前、大津市役所を訪ね、特別応接室で越市長と面会しました。
はじめに越市長が、自殺を巡る学校側の一連の調査について、「不十分でずさんだったことを深くおわびしたい。息子さんのためにも、学校で何があったのか徹底的に明らかにしたい」と述べて、謝罪しました。
これに対して、父親は「学校や教育委員会の不十分な調査や隠蔽体質が浮き彫りにされ、私自身の信頼はゼロに等しい。一日も早く真相究明と有効な対策が講じられ、いじめに悩む生徒さんたちを救っていただけることを望みます」と話しました。
また、越市長は、自殺の再調査のために近く設置する、有識者による第三者委員会について、弁護士や大学教授などを起用することや、個人情報を扱うことから非公開で行いたいことなどを説明し、理解を求めました。
一方、遺族側は、大津市が一方的に選んだ委員による調査では、公平や中立の観点から同意できないとして、大津市と遺族側それぞれが推薦する委員を選ぶことなどを提案し、越市長は「検討させてほしい」と述べ、今後、遺族側と調整する考えを示しました。

遺族“一日も早い真相の究明を”

市長との面会のあと、遺族の父親は、弁護士を通じてコメントを出しました。
この中で、父親は「市長から真実を究明する姿勢が見られたことを評価しています。第三者委員会に遺族の意向が十分に反映され、公平性が担保されれば、遺族としても調査結果を信頼することができる。委員会には一日も早い真相の究明を期待しています」としています。
一方、面会で越市長は、第三者委員会の目的について、いじめの全容解明が目的で、いじめと自殺の因果関係を判断するのは難しいという認識を示しました。
これについて、遺族側の弁護士は記者会見で、「第三者委員会では因果関係や市の過失責任も調査の目的とするべきだ」と述べ、認識に食い違いを見せました。
そのうえで弁護士は、「調査の目的以外の要求は、ほぼ受け入れてもらえたと思う。なるべく早く委員会を設置することが遺族の意向なので、調整を急ぎたい」と話していました。

市長“意思疎通を図りたい”

遺族と面会したあと、大津市の越市長は「ご遺族に謝罪し、直接、話をすることは、出発点として必要だった。今後はご遺族と意思疎通を図り、第三者委員会をなるべく早く立ち上げて、事実解明を徹底的に行いたい。第三者委員会の委員の人選は、公平性や専門性のほか、この問題にどの程度関わってもらえるかなどを考えて、もう一度、一から検討したい」と述べました。

遺族側は第三者委に尾木氏らを推薦

第三者委員会は、去年6月の文部科学省の通知に基づくもので、通知では、学校や教育委員会が主体となる調査を遺族が望まない場合、中立的な外部の専門家を加えて設置するとしています。
大津市が設置する予定の第三者委員会は、越市長が、自殺を巡る学校側の調査がずさんだったとして、今月上旬に委員会を設置する方針を固めていました。
越市長は「学校や教育委員会の調査は信用できない」として、委員会のメンバーは、遺族側の意見を踏まえて、大学教授や弁護士など外部の有識者だけで構成し、開催ごとに進捗(しんちょく)状況を公表したうえで、最終的には報告書をまとめて公表するとしています。
この委員の人選を巡り、遺族側は25日、越市長と面会した際、▽教育評論家で法政大学教授の尾木直樹氏、▽社会教育学が専門で和歌山大学教授の松浦善満氏、▽いじめや少年事件の問題に携わってきた弁護士の渡部吉泰氏の、3人を推薦しました。
遺族側は、公平で中立な第三者委員会にするため、大津市と遺族側がそれぞれ推薦する委員の人数を均等にしてほしいと提案していて、大津市は提案を検討したうえで、来月上旬までには第三者委員会を設置したいとしています。

[関連ニュース]
このページの先頭へ