清水−名古屋 後半、先制ゴールを決め、闘莉王(左)と抱き合う名古屋・吉田=アウスタで(内山田正夫撮影)
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ホームアンドアウェー方式で行われ、名古屋グランパスはアウスタで清水と対戦し、1−0で勝った。2連覇を狙う鹿島がC大阪を2−1で下して先勝した。J1で現在2位の仙台とアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に出場したFC東京は2−2で引き分けた。ACLに出場したチーム同士の対戦は柏がG大阪に3−1で先勝した。第2戦は8月8日に行われる。
◆名古屋1−0清水
そのプレーに、迷いはみじんもなかった。後半32分、途中出場のMF吉田が右サイドからドリブルで切り込み、闘莉王とのワンツーでDFを振り切る。金崎へのパスコースも空いた。それでも、「自分の得意な形。思い切って打とう」と選択したペナルティーエリア外からの左足シュートは、一直線にゴールに突き刺さった。公式戦14試合目でのプロ初得点。その瞬間、冷静だった意識が吹っ飛んだ。「めっちゃうれしくて頭が真っ白になった」。両手で派手なガッツポーズをしながら、夜空に向かってほえた。
19歳のひそかな努力が、ようやく結実した。毎朝の体幹トレーニングを欠かさず、練習1時間半前にはクラブハウスに来る。練習後も「体が硬いんで」と最後まで残り、入念にストレッチやマッサージを行う。そのため、同じ寮の10代の仲間たちがいつも連れだって昼食に行くなかで、吉田だけ1人で帰る日が多い。そんな生活にも迷いはなかった。「毎日仲良く暮らすために、僕はプロになったわけじゃない。楽しいからって自分の時間を割いてまで一緒にいたら、違う道に行っちゃう」。もちろん寮に帰れば仲は良い。ただ、一度だけのサッカー人生を後悔しないために、あえて一線を画す生活を選んだ。
その姿勢があったからこそ、吉田は主力FW陣の不在により回ってきたわずかなチャンスを逃さなかった。「監督は必ずチャンスを与えてくれる。それを生かすかどうかは個人の問題」。たゆまぬ努力を続けてきた者だけが味わえる、極上の瞬間。サポーターからの万雷の「真紀人コール」を浴びながら、19歳は次のチャンスを見据えていた。 (宮崎厚志)
◆高木、完封勝利に貢献
左膝痛の楢崎に代わってゴールマウスを守ったGK高木が完封勝利に貢献。後半ロスタイムには清水MFアレックスの決定的なヘディングシュートをスーパーセーブではじき出した。「ボクだから決定的に見えただろうけど、楢さんなら普通にとれる」と謙遜。今季は出場した2試合で1失点。第2GKがしっかりとチームを支えている。
◆FW闘莉王、最前線からチームを鼓舞 「監督の勇気すごい」
センターフォワードとして先発したDF闘莉王が決勝ゴールをアシスト。「形としては何かを残せた」と照れ笑いした。本来はディフェンスの中心。FWでの出場は「人生初」だという。「オレをあの位置で使った監督の勇気はすごい。普通の日本人の監督ならなかなかできないよ」と、“奇策”で勝利を呼び込んだストイコビッチ監督を持ち上げていた。
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