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規制委に大飯原発の監視体制教訓を フル稼働で牧野副大臣成果強調
(2012年7月26日午前7時30分)
特別な監視体制のメンバーにあいさつをする牧野経産副大臣(左)=25日、福井県おおい町のオフサイトセンター
関西電力大飯原発3、4号機は、福井県の要請を受け設置された「特別な安全監視体制」の下でフル稼働に至った。責任者として重要局面で現地に常駐した牧野聖修経済産業副大臣は25日の記者会見で「関係者が情報と心を一つにし、徹底した情報公開ができた」と成果を強調。県が9月に発足する原子力規制委員会を現場重視の監視組織にするよう求めている点に理解を示した上で「培ったノウハウを引き継ぎたい」と語った。
特別な監視体制は、地元住民や周辺自治体の不安を解消するため、規制委発足までの暫定措置として設置。政府が再稼働を決定した6月16日から運用が始まった。
拠点となったおおい町のオフサイトセンター(県大飯原子力防災センター)には、経産省原子力安全・保安院、関電、プラントメーカーのほか県の専門職員も常駐。最大時には80〜90人態勢を敷き、牧野副大臣らが同原発の中央制御室で立ち会った。
牧野副大臣が重視したのは情報の「内部共有」と「外部公開」。テレビ会議システムで同原発、オフサイトセンター、保安院、県庁などを結んで作業を常時監視し、トラブルに至らない警報が鳴った際も情報を共有し、国民向けに発信した。
県の岩永幹夫原子力安全対策課長は「これまで軽微な警報レベルの事象は事業者任せだったり、保安院だけで判断した部分もあったが、この体制では知識や見解を出し合い、皆で正しく理解して情報発信までできた」と評価。事故対応に備えた好事例となり、県職員の知識向上にもつながったとみる。
オフサイトセンターには、京都、滋賀両府県も防災担当職員を派遣。滋賀県の担当者は「関電や保安院、福井県も含め、防災対策を講じる仲間なんだという認識で対応してもらった」と語った。
ただ、6月20日に3号機の冷却水タンクで水のにじみが見つかった際、保安院の検査官が立ち会いながら水漏れが続いていたことに気付かず、後に関電の報告で判明。監視能力の不十分さをのぞかせた。森下泰地域原子力安全統括管理官は「検査官の資質を高めなければならない」と課題を挙げた。
フル稼働を見届けた牧野副大臣は25日午後に県庁を訪れて西川知事と面談。知事は「さらに継続的に安全運転に努力する必要がある。早く信頼のある集団で規制委をつくり、今回の監視体制の教訓や成果を引き継いでほしい」と求めた。
一方、サヨナラ原発福井ネットワークの山崎隆敏代表は「副大臣がいるからといって、安全のため何の担保になったのか。子供だましのようなものだ」と疑問視。「県民も安全対策にシビアな目を持つようになっており、ごまかされない」と国の姿勢を批判した。
