2012年07月25日

政府事故調の最終報告書を批判する@

第一回は「役人はまったく役に立たなかった」

<引用開始>
なお、前記のとおり、原災マニュアルにおいては、原災本部長権限の委任については、安全規制担当省庁(実用炉における事故の場合は保安院)が原災本部長(内閣総理大臣)の決裁を受けた上、委任がなされた旨を告示することとされているが、保安院は、同月12 日以降、前記のとおり現地対策本部から複数回にわたりこの委任手続の進捗状況の確認を受け、委任手続が終了していないことを知り得たにもかかわらず、主体的に動いて委任手続を完了させることをしなかった。また、前記電子メールを受け取った内閣官房及び内閣府の職員も、保安院職員に対して、原災マニュアルの規定に従って手続を進めるよう指摘しなかった。
<引用終了>
http://icanps.go.jp/SaishyuHon03.pdf

以下、長いが日本の対原発防災システムを紹介しておく。「役人はどのように役立つか」という根幹を頭に入れておかないと大局が捉えられなくなる。

原子力防災 経済産業省 資源エネルギー庁編集「原発2007」より
<引用開始>
第6章 国による安全規制
 原子力施設の安全確保の第一の責任は、施設の設置者(原子力事業者)にあります。同時に、原子力の利用が平和の目的に限られ、計画的に行われるようにするとともに、災害の防止や核物質の防護を行うことにより公共の安全を確保するため、国が原子力施設の設置や運転に関する規制を行っています。

《運転の段階》
<略>
 経済産業省では、運転段階での安全確保体制の強化を図るため、国による原子力施設への立入などによる保安規定の遵守状況の検査、いわゆる保安検査制度を発足させ、その検査に従事する原子力保安検査官を全ての原子力発電所に配置しています。また、この原子力保安検査官は毎日の原子力発電所への巡視や事業者が行う定期事業者検査及び訓練への立ち会いを併せて実施しています。
<略>

第7章 過去のトラブル事例に学ぶ

■JCOウラン加工施設の臨界事故
1999年9月30日、茨城県東海村にある潟Wェー・シー・オー(JCO)ウラン加工施設において臨界事故が発生しました。このウラン加工施設は、燃料サイクルの中の再転換と呼ばれる工程を行う施設です。この事故は、我が国で初めての臨界事故であり、ウランの核分裂連鎖反応である「臨界」状態が20時間に渡って継続し、施設周辺住民の避難や、施設から半径10キロメートルの圏内の住民の屋内退避を行うに至ったものでした。
 そして、臨界に伴い発生した放射線により、現場にいた作業員が被ばくし、死亡者が出ました。さらに、従業員、防災業務関係者、周辺住民など多数の人々に被ばくが確認されました。なお、施設の外に放出された放射性物質のレベルは十分小さく、住民の健康や環境に影響を及ぼすものではありませんでした。また、農林畜水産物等を採取・分析した結果、影響はみられず、安全であることが確認されています。
 この事故は、国際原子力事象評価度(INES)では、レベル4(所外への大きなリスクを伴わない事故)と評価されています(試行値)。

≪事故の原因≫
<略>
 この事故は、国の許可を得た設備や方法による作業とは異なることを行ったために生じました。作業手順を無視し、臨界管理の上で規定されている制限量をはるかに上回るウランを投入したことが直接の事故の原因となりました。その背景には、作業員の臨界に関する認識不足、企業における人員配置、教育などのマネージメントの問題があった可能性が指摘されています。

≪国の対応≫
この事故を受けて、原子力安全委員会は、ウラン加工工場臨界事故調査委員会を設置、1999年12月に最終報告書を取りまとめています。
<略>
 この事故を教訓として、政府は、原子力の安全・防災対策の強化・充実を図るため、原子炉等規制法の一部改正案及び原子力災害特別措置法案を国会に提出し、1999年12月に成立しました。<略>

第8章 原子力防災 105
1、原子力防災
 原子力防災対策については、従来から災害対策基本法に基づいて、国、地方公共団体において防災計画を定めるなどの措置が講じられてきました。1997年6月には、災害対策基本法の枠組みの中で、関係者の役割分担の明確化などを内容とする防災基本計画原子力災害対策編が策定されました。
<略>
ところが、1999年9月のJCOウラン加工施設における事故への対応において、初動段階で事故の状況の迅速かつ正確な把握の遅れなどの問題が明らかとなりました。このため1999年12月に@迅速な初期動作と、国、都道府県及び市町村の連携強化、A原子力災害の特殊性に応じた国の緊急時対応体制の強化、B原子力防災における事業者の役割の明確化などを規定した「原子力災害対策特別措置法(原災法)」が成立し、原子力防災対策の根本的な強化を図ることになりました。

2、原子力災害特別措置法
<略>
■迅速な初期動作の確保
 適切な初期動作を確保するためには、迅速に正確な情報を把握する必要があるため、一定の事故・故障等が生じた場合の通報(原災法第10条)を原子力事業者に義務付けています。通報を受けた主務大臣は、地方公共団体の要請などの応じて、専門知識を有する職員の派遣などを行います。また、現地に駐在している原子力防災専門官が原子力近傍に設置されている緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)において警戒態勢の立ち上げを行うなど、原子力災害対策のための業務を実施します。さらに、事象の推移に応じて、あらかじめ定められた事象に至った場合(原災法第15条)には、主務大臣は直ちに内閣総理大臣に報告するとともに、原子力緊急事態宣言を出すように申し出ます。内閣総理大臣は「原子力災害対策本部」を設置します。また、原子力安全委員会は、内閣総理大臣の求めに応じ、技術的事項についての助言を行います。 
 原子力災害が発生すると国は、現地のオフサイトセンターに、「原子力災害現地対策本部」を設置し、地方公共団体や原子力事業者と共に原子力災害対策合同対策協議会を組織して、情報交換や対策の相互協力などを行います。

■国と地方公共団体との有機的な連携の確保
 原災法においては、平時より原子力防災専門官が現地に駐在し、事業者や地方公共団体と連携した活動を行うとともに、原子力緊急事態が発生した際には、あらかじめ指定されたオフサイトセンターに原子力災害合同対策協議会を組織することとされています。
 また、原災法により国が定める計画に基づき、国、地方公共団体、原子力事業者などの関係者が共同して、実践的な防災訓練が実施されます。2006年には、四国電力活ノ方発電所を対象として、この訓練が実施されました。

■国の緊急時対応体制の強化
 緊急時に国が適切に対応できるよう、原子力災害対策本部長は、関係機関の長や原子力事業者に対し、必要な指示をすることができるほか、必要があると認めるときは、自衛隊の派遣を要請することもできます。
 原子力災害対策本部長の主要な権限が委任されている現地対策本部長は、現地における実質的な責任者として、関係機関に対する調整や指示を行い、安全規制担当省庁、関係省庁、地方公共団体、原子力事業者、原子力の専門家、その他関係機関と連携を取りつつ、緊急事態応急対策を実施します。
 さらに、防災基本計画に基づき、文部科学省、経済産業省、指定行政機関、地方公共団体、指定公共機関などはそれぞれの定める防災業務計画や地域防災計画によって、必要な防災対策を講じます。
<引用終了>

自分たち官僚が作った「防災基本計画原子力災害対策」が役に立たなかった(机上の空論集であった)ために、JCO事故が発生したが、官僚は無能であることが衆知されるとともに、責任問題に発展することを怖れ、事故後わずか3カ月で、官僚が焼け太りし「箸の上げ下ろし」まで監視する新法を成立させたのである。

原災法においては、平時より原子力防災専門官が現地に駐在とあるが、震災当日にも常駐していなければ原災法違反である。原子力防災専門官はどのような働きをしたのか。最終報告書は最も糾弾されるべきA級戦犯、原発に寄生する役人の実態を報告していない。まさに落第点である。

中間報告書には、「福島第二原発においては、3 月11 日の地震発生直後から、福島第二原子力保安検査官事務所の2 名の保安検査官が同原発免震重要棟内の緊急時対策室に常駐し、現地対策本部の福島県庁への移転(3 月15 日)以降も、そのまま事故対応に当たった」とあるが、63ページもある最終報告書の福島第二原子力発電所の事故後の対応(見事である)を読んでも、現地の保安検査官が「何かした」とは一言も書かれていない。技術力が欠落している役人は邪魔なだけだったのである。
posted by M.NAKAMURA at 15:41| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
盗作作家が偉そうに論じてもねえ…。
落第点付ける前に謝罪をちゃんとしましょうよ。
「最後のパレード」を買ってしまった読者の皆さんと大分の女性に、ちゃんと謝罪してください。
何を論じても説得力ないですよ、盗作作家だもの。
Posted by まずはきちんと謝罪を at 2012年07月25日 16:03
なぜ、謝罪する必要があるのですか。

私を診察した多摩済生病院の精神科のT医師は、「謝罪しなくてよかったですね」と、私の精神を分析してくれました。

この発言は、足利事件で罪を認めてしまった菅谷被告(当時)が、自分で勝手にストーリーを作り自分を追いつめていったことが関係していると考えられます。

私は、生ある限り暴力団より怖い読売グループと闘っていきます。
Posted by 管理人 at 2012年07月25日 17:17
ただ無駄に長いだけで、
何を言いたいのかさっぱりわからないこの記事を読んで感銘を受けました

やっぱり根っからの基地外なんですね
お大事に
Posted by 講演依頼 at 2012年07月25日 22:16
ウンコチンチン
Posted by 公園以来 at 2012年07月25日 22:36
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