日本語固有の問題でつまづいた
――スピードを重視するあまり、事前の検証が不十分になったのではないでしょうか。
発売までのスピードを重視したのは事実ですが、大事なプロセスはすっ飛ばしたわけではありません。事前の検証は十分にやっていたつもりでした。ハードウェアの製造についてはカナダのノウハウが、サプライチェーンは楽天グループの経験があり、不安はありませんでした。
ですが、日本語対応、日本語組版で縦書き、かつEPUB3に合わせていくことに困難が伴いました。Koboのファームウェアはほかの国でも提供しており、日本語特有の問題を除いては、問題なく利用できるものでしたが、振り返ってみると、すべてにおいて、日本語特有の問題がありました。
――日本語書籍は3万点を用意するとしていましたが、当初のラインアップは約2万点、うち1万点あまりが「青空文庫」の無料作品という状態でした。
日本語書籍の点数は、出版社との関係をベースにはじき出したもので、水増ししようとしたわけではありません。日々追加しており、実際にその数字に近づいています。7月中には必ず、3万タイトルに到達します。
ラインアップをそろえるのに時間がかかったのは、日本で初めてEPUB3を全面採用したためでした。既存のファイルフォーマットなら既存のファイルを流用できたのですが、ファイルを新たにEPUB3に作り直す必要があり、当初契約できた書籍数と、リリースまでに間に合ったもの間にギャップが出てしまいました。現在も、チェックを待っている状態のものが数千冊の単位で存在します。
――楽天社内の英語公用語化が、日本語特有の問題の解決をはばんだ面はあるのでしょうか。
そういう意見をネットでも拝見しましたが誤解です。確かに、社内会議などは英語ですが、あくまで必要な状況で使っているのみで、日本語が適切なところでは日本語を使います。社員のPCのOSも日本語です。カナダのKobo本社とのやりとりは、英語でスムーズに行えています。
●楽天史上初、商品レビューを非表示に 近く再表示へ
――「楽天24koboショップ」のkobo Touch販売ページには辛らつなレビューが多く投稿され、「☆1つ」のレビューが最多となる炎上状態にありました。23日には投稿されたレビューへのリンクが削除され、レビューのURLにアクセスしても閲覧できない状態になりました。
kobo Touchをきちんとした状況でご提供しない中で生まれた混乱は100%われわれの責任ですが、さまざまなレビューが書かれました。「期待を裏切られた」というお怒りの声もいただいており、レビューがレビューとして機能しなくなっていました。良いこと、悪いこと含め、あるべき姿を参考にしていただくのがレビューですが、不完全な状態からスタートしたkobo Touchのレビューの場合、かえって誤解を招くのではないかと判断しました。
混乱を避けるため、いったん状況を正常化させていただいてから、レビューを再開したいと考えています。レビューを非表示にしたのは緊急の一時的な措置で、投稿されたレビューの削除は考えていません。kobo Touchは大変インパクトの大きい商品。そのインパクトの大きさから特例中の特例として、今回はやむを得ず、非表示にしました。レビューを非表示にしたのは、楽天史上初です。
現在、アプリや端末の基本的な不具合は解消しています。過去のレビューについて、近く再表示する予定です。