2012.06.21 Thu posted at 15:46 JST
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福島(CNN) 福島県川俣町の渡辺幹夫さん(62)の自宅は、東京電力福島第一原発事故による計画的避難区域の中にある。39年間連れ添った妻のはま子(当時58歳)さんは、一時帰宅中だった昨年7月、ここで焼身自殺した。
はま子さんはガソリンをかぶり、自ら火を放った。避難生活のストレスでうつ病を発症していたという。「原発事故がなかったら、こんなひどい目に遭わずにすんだ」と幹夫さんは言う。「これは東電の責任だ」
幹夫さんは今年5月、東電を相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。幹夫さんは裁判をきっかけに、東電と日本政府が原発事故は自然災害ではなく人災だということを受け入れ、避難生活を送る人々へのケアを迅速化させることを期待している。
避難している人々からは、東電の対応があまりに遅く生活の再建ができないとの声が上がっている。こうした対応の遅れが自殺のような事態を招いていると幹夫さんは言う。
東電はCNNの取材に対し、訴訟についてはコメントできないと回答した。
幹夫さんによれば、住み慣れた自宅を離れ、狭苦しいアパート暮らしを強いられるなかではま子さんは徐々にうつ病を発症した。夫婦で働いていた養鶏場も避難区域内だったため閉鎖され、2人は職を失った。はま子さんは家のローンの支払いをひどく心配し、時間をもてあましたせいもあって状態は悪化していった。
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