武蔵大学、武蔵高校・中学校の東門のそばにある現在のアメダス観測所。風速計や雨量計などが設置されている=東京都練馬区豊玉上1丁目 |
東京都練馬区にある気象庁のアメダス観測所が、今年度いっぱいで移転する。周辺にビルが建つなどして風通しが悪くなり、正確な観測が難しくなったという。練馬は猛暑の夏に気温が高い地点としてしばしば紹介されるが、移転先では気温が低く観測される可能性も。「東京で一番暑い、というイメージが変わるかも」と期待する声もある。
練馬が暑いとされる理由について、気象庁気象研究所で都市型気象を研究している藤部文昭さんは「アスファルトなどの影響で都市の気温が上がるヒートアイランド現象と、練馬の地理的条件が要因」と分析する。海からの風が都心で暖められ、練馬などの内陸部を通るため、気温が上がりやすいという。
こうした現象は練馬に限らず、周辺の内陸部ではどこでも同じはず。だが実際には、練馬は東京都内のほかの地点より気温が高く出る傾向にある。今年も6月から今月24日までの54日間で、都内の観測地点(島嶼〈とうしょ〉部を除く)で練馬が最も気温が高かったのは37日。次が都心の10日なので、差は歴然だ。
観測所を管理する東京管区気象台の担当者は「現在の練馬の観測所は風通しが悪くなり、気温の上昇といった影響を与えている可能性がある」とみる。