イチローはマドンナと同じ！名門ヤンキースで待ち受ける試練

(夕刊フジ)

　ヤンキースに電撃移籍したイチロー外野手（３８）に、早くも厳しいニューヨークメディアの洗礼が浴びせかけられている。２４日付（日本時間２５日）のニューヨークポスト紙はイチローについて「過去のスターとなった歌手、マドンナと同じ」と報じ、デイリー・ニューズ紙は「故障した穴埋めに過ぎず、ヤンキースの来季戦力構想には入っていない」と伝えている。同日、シアトルで行われたマリナーズ戦に２日連続の「８番・右翼」で先発し、１打席目は三飛に倒れた。

　衝撃の移籍から一夜明けたこの日、イチローは、２０１０年サイ・ヤング賞投手のフェリックス・ヘルナンデス（２６）と相対した。入団からエース右腕と呼ばれるようになるまで、その成長を見守り続けた球界を代表する剛球右腕だ。

　古巣となったセーフコ・フィールドのスタンドから２日連続のスタンディングオベーション。第１打席は３回先頭だった。イチローはヘルナンデスの高めの速球に差し込まれ、三飛に終わった。

　一見、希望に満ちたイチローのヤンキース移籍だが、実情は厳しさもある。ニューヨーク・タイムズ紙は、「イチロー自身がマリナーズのフロントに“優勝争いのできるチームに移籍させてほしい”と申し出てきたのがきっかけだった」と、その舞台裏を明かしている。

　イチローは前日２３日の会見で「オールスターブレークの間に出した結論」と説明したが、実際には代理人のトニー・アタナシオ氏を通して、数週間前には移籍希望をマリナーズのフロントに伝えて移籍先を探していた。

　一方、ヤンキースは、１週間前に左翼手のブレット・ガードナー外野手（２８）が右ひじ手術で今季絶望となったことから、「給料の安い代替選手」（同紙）を探していた。当面はベテランのアンドリュー・ジョーンズ（４０）とラウル・イバニエス（３５）両外野手が左翼の穴を埋めてきたが、２人ともベテランでシーズン終盤に息切れするのではないかとの懸念があったからだ。

　最初にピックアップされた数人の獲得候補選手にヤンキースは食指を動かさなかったが、数日後にヤンキースのランディ・レビン球団社長が、マリナーズのチャック・アームストロング球団社長に電話を入れたところ、イチローが放出可能であると伝えられたという。ヤンキースにとっては、あくまでも、今季の補強選手探しの中でのことだった。

　大衆紙ニューヨーク・ポストは、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンＧＭの補強とイチローの獲得について次のように伝えている。

　「キャッシュマンＧＭのトレード期限の戦略（７月３１日）は、比較的安価な選手をあてがうことで有名だ。イチローは確かにビッグネームだが、あのマドンナと同じように、名声はあるが、過去の力はない。ヤンキースが左翼の守備とスピードを加えたことはプラスだ。だが、同時にエゴ（わがままな男）も招き入れた。これがどうチームに影響を与えるか？　幸運を祈るしかない」

　同じ大衆紙のデーリー・ニューズ紙はイチロー獲得は大きなギャンブルだと位置づけた。

　「イチローは環境が変われば、ギアをあげ、モチベーションを高くしてプレーするかもしれない。だが、それも２、３カ月しか続かないだろう。２０１３年、イチローがブロンクスにいることはない」と辛口だ。

　ヤンキース内でのイチローの立場はあくまでも補強選手で、主力選手ではない。大リーグ公式サイトは「イチローは外野の守備位置を変更し、ヤンキースの下位打線を打ち、たぶん相手投手が左の場合はベンチを温めることになる」と報じている。

　イチローのヤンキース入りは見た目ほど華やかなものではない。はい上がることができるだろうか。