NO BASEBALL NO LIFE

今日、意外な人から電話がかかってきました。
元東洋大姫路で、東芝でプレーしているサウスポー、
グエン・トラン・フォク・アン君です(写真）。

アン君といえば、
高１の夏に甲子園デビューし１６強入りした投手。
今でこそ甲子園の「高１デビュー」は珍しくないですが、

あの頃（８年前）、甲子園初戦の先発に立った１５歳のアン君の姿は衝撃的でした。









高３のセンバツでは延長１５回１９１球の力投(花咲徳栄戦）。
キャプテンも務めました。
「ベトナム国籍の選手」と話題先行だったアン君でしたが、
「大会屈指の本格派左腕」として堂々のピッチングを見せてくれました。


知人を通じて、アン君の写真を見せてもらったことがあります。
小さいテーブルにベトナム料理がたくさん並んでいて、
仲のよさそうに写っている家族６人の自宅写真でした。
部屋はそんなに広くなさそうで、
それほど裕福ではない家庭だということが想像できました。

でもなんか、家族の温かさが伝わってくる写真で、
真ん中で笑っているアン君の笑顔がとても印象的でした。


「中学を出たら家族のために働く」と考えていたアン君。
それが、東洋大姫路に入り、２度の甲子園。
卒業後は名門の東芝に入部し、
プロからも注目されていた逸材だった聞きます。

そんなアン君に初めて会ったのは
ルーキーイヤーにホシの取材で東芝に行った時のこと。
「球速を３キロ増やして１４５ｋｍにしたい！」と話していました。
あれが０４年の６月。


以後、５年間。
ちょくちょく電話で近況を教えてくれる、
私にとって、数少ない選手の一人でした。


そして今日の電話。
「お世話になりました。野球をあがる(引退）ことになりました」


小５で軟式野球を始めて、１３年。
今はスッキリした気持ちです、と話したアン君。
来春からは社内でデスクワーク業に励むそうです。


１度しか取材していないのに、
なんでいつも連絡してくれたんだろう。

もしかしたら、
１０人の記者に取材されたら、
１０人の人に連絡する。
そういう律儀な人なのだろうか、アン君は。

とにかく、
０７年の手術から復活し「やりますよー！」と、
明るい声を聞かせてくれたのに、
なんで私はそんなアン君を、１度も見に行かなかったんだろう。
ライターとしてでなく、
人として。
今、本当に後悔してます。


なにが『今度見に行くからね』だっ！
とんだ嘘つき野郎でした(；´Д｀)


そのお詫びに、

勇気を出して、
今度ご飯でも、誘ってみようと思います。