2012年7月21日放送 21:00 - 22:00 NHK総合NHKスペシャル メルトダウン 連鎖の真相 福島第一原発は想定外の津波に襲われ、冷却装置の対処が出来なかった。今回は、2号機と3号機について検証していく。メルトダウンを防ぎ、放射能を止められなかったのかを当時の現場にいた人達に取材をした。先ずは2号機について紹介する。 |
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- 2012年7月21日放送 21:00 - 22:00 NHK総合NHKスペシャルメルトダウン 連鎖の真相
- 福島第一原発は想定外の津波に襲われ、冷却装置の対処が出来なかった。今回は、2号機と3号機について検証していく。メルトダウンを防ぎ、放射能を止められなかったのかを当時の現場にいた人達に取材をした。先ずは2号機について紹介する。
メルトダウンした2号機から流れでた汚染水は、最も濃度が高い。原子炉のすぐ裏側の建物、格納容器では放射線が確認されている。中央制御室や免震重要棟などで対応した責任者達が取材に応じた。2号機は空焚きになり格納容器が壊れるのが目に見えていたと話した。また、チェルノブイリになると感じたと続けた。
2号機が追い込まれた理由は、3月14日3号機が水素爆発を起こし、2号機にも影響が及んだ。制御室に入った作業員は、冷却装置を稼動させメルトダウンを防ぐ作業を起こしていた。具体的には、原子炉の温度が下がり注水すればメルトダウンを防げるが、減圧を行う必要がある。SR弁という、主蒸気逃がし安全弁を冷却機能が失われた非常時に原子炉に8つついており、圧力を急激に下げて水を注ぐことが出来る。
現在停止中の柏崎刈羽原発の内部にあるSR弁を撮影した。通常中央制御室のレバーをひねればSR弁が開くが、福島第一原発の時は開かなかった。この事態に、現場の最高幹部達も切迫感があったと話した。
SR弁が開かなくなった理由を探ると、ニノ方や宮野は構造自体に目を向けた。国会の事故調査の報告書には電源のことにのみ触れ、SR弁には触れていなかった。刑部は、圧力差があったため開かなかったと話した。
教授たちは、想定外だったので試験をしていなかったのでSR弁が開かなかったのではないかと話した。また、東京でも開け方を探していたが格納容器の中の圧力については議論がなかったと東京電力の当時の責任者ははなした。また、当時は開け方が分からないにも関わらず8箇所す部手開けようとしていた。しかし、最後の砦の格納容器が壊される寸前だった。
SR弁の沸騰水型の26原発に設置がある。しかし、福島第一原発では1号機と3号機はベントという格納容器から圧力をふせぐ作業が出来たが、2号機では出来なかった。それは、空気のタンクがあり、コンプレッサーを使いバルブに空気を送れるが津波により送れなくなっていた。そのため、直接コンプレッサーにつないで空気を送る作業を試みた。しかし、上昇し続けた。5号機の配管では、直線距離でも70Mあり途中に亀裂が生じるだけで空気は送れなくなるのだ。
原発に対する地震の影響について、高松直丘は機器配管が壊れたためSR弁まで届かなかったのではないかとコメントした。東京電力は、地震によっての影響は殆ど見られないと報告している。当時の菅総理大臣が、東京電力に乗り込んだのもこれが理由であった。2号機中央制御室はベントができないまま時間が経過していった。そして圧力がゼロになった。
耐震性の低い配管が壊れ、重要な機器が動かなくなったことは問題視すべきである。3号機は水素爆発を起こした。悪化した理由は、3号機の中央制御室で原子炉を冷却する作業に追われていた。バッテリーが届けられたが、ワット数が足りなかった。
アメリカのバージニア州のサリー原子力発電所では、必要なものは備蓄するように義務付けられている。州政府の緊急対策センターでは、住民避難などを行いながら、物資要請も対応しており専門のチームがある。電源車だけでも30社用意している。
福島第一原発では、放射線量の上昇が更に事態を難しくした。また、バッテリーもまだ届かなかった。
バージニア州では、放射能を前提とした物資運搬が考えられている。ヘンリコ郡のHAZMATは車の中で内部被ばくを防ぐ防御服が用意されている。
放射性物質に侵された原発に必要な物資を届ける仕組みがなかった日本。けっきょく、福島第一原発で使用されたのは、かきあつめた自動車用のバッテリーだった。しかし、3月14日、水素爆発が起きてしまった。福島第一原発の福良昌敏氏は精一杯のことはやったが力及ばずだったと語っている。
あさってには事故調査はひとつの区切りを迎えるが、どこまでこの事故を解明できたかには疑問が残る。今回番組で指摘した問題の数々は事故が起きて初めて気づいたことである。こんな状況で原発の再起動がされているが、ほんとうに大丈夫なのか、具体的な検証は十分されていない現実。原発の問題については、重い課題がつきつけられたままである。