牧太郎の大きな声では言えないが…:集団ネットいじめ?
毎日新聞 2012年07月24日 東京夕刊
今から50年も前、小学6年の頃、同級生から、「カネ、持って来い!」と命令された。
仕方なく、母親の財布から5円玉を3枚くすねて“要望”に応えたが、ある日、母親から「気がついていないとでも思っていたのかい? お前を泥棒にするつもりはないから出て行きな!」とこっぴどく叱られた。
「悪ガキに『持って来い!』といじめられているんだろう。その子の親に『お袋に5円玉を盗むのを見つかったので、これが最後です』と言って15円渡しておいで!」と言う。
どうしたら良いだろう。
結局「実はおふくろに……」と事情を話したら、悪ガキは驚いて「いじめ」は終わった。
「いじめ」は、いつの時代にもあった。
数十年ぶりに同窓会で再会した悪ガキは「俺にいじめられた? 覚えていない」と真面目に答えていたから、我々の時代の「いじめ」は“加害者”がすっかり忘れてしまうような「悪戯(いたずら)」だったかもしらない。
それに引き換え……大津市で起きた「いじめ」が原因とみられる中2男子生徒の自殺。涙が出た。
自殺の練習をさせられた、と聞き、これは「犯罪」いやいや「悪魔の仕業」ではないか?とさえ思った。
半世紀で「いじめの質」が変わった。
もっと恐ろしいことも起こっている。
7月初め、ネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」に「中2自殺 生前に自殺練習強要」というタイトルでスレッドが立つと、書き込みが殺到。