1995年に東京都八王子市の「スーパーナンペイ大和田店」で女性3人が射殺された事件をめぐり、カナダ在住の中国人の男(41)が事情を知っている可能性があり、日本の捜査当局が旅券法違反の容疑で逮捕状をとって身柄の引き渡しをカナダ政府に求めていることが分かった。
日本とカナダの間には身柄引き渡しの条約がなく、カナダの裁判所が引き渡しを認めるかどうかを審理。23日(日本時間24日未明)に終了し、9月10日に決定が言い渡されることが決まった。審理の中で男は引き渡しについて「実際は強盗殺人事件の聴取が目的で、不当だ」などと争ってきた。
カナダ司法当局から裁判所に提出された記録によると、男は中国・福建省出身。90年代に日本に滞在していた時期がある。2006年にカナダへ入国し、永住権を得ている。
記録によると、3人射殺事件の捜査線上に浮上したのは09年。中国の捜査当局から「事件について話している日本人死刑囚がいる」との情報が寄せられた。
警視庁は捜査員を中国・大連に派遣。覚醒剤密輸事件で刑が確定していた武田輝夫元死刑囚から「日本で一緒に強盗団に加わっていた中国人の男が実行犯を知っていると思う」などの証言を得た。武田元死刑囚は10年に67歳で死刑が執行された。
警視庁が調べたところ、男は02年4月、武田元死刑囚とともに日本人名義で不正に旅券を取得し、一緒に日本を出国した疑いがあり、その後カナダへ入国したことが判明した。日本の捜査当局は旅券法違反容疑で逮捕状を取り、カナダ政府に引き渡しを求めてきた。
裁判所で引き渡しの決定が出ても、控訴したり、カナダの司法相に対し、引き渡しを実行しないよう求めたりすることができる。(トロント=中井大助)
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〈八王子スーパー3人射殺事件〉1995年7月30日午後9時15分ごろ、東京都八王子市大和田町4丁目の「スーパーナンペイ大和田店」2階の事務所で、パート従業員の稲垣則子さん(当時47)と、いずれもアルバイトで高校2年の矢吹恵さん(同17)、前田寛美さん(同16)の3人が頭を拳銃で撃たれ殺された。事務所の金庫にはこじ開けようとした痕跡があったが、中にあった現金約520万円は残されたままだった。
時効が3カ月後に迫った2010年4月、法改正で凶悪事件の時効が撤廃され、捜査は継続している。警察庁の捜査特別報奨金(懸賞金)対象事件で、有力な情報提供者には私的懸賞金と合わせて上限600万円が支払われる。