持ち前の激しい守備で、大津からボールを奪い取るDF徳永=グラスゴーで(松岡祐司撮影)
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【グラスゴー(英国)松岡祐司】マタに「待った!!」 ロンドン五輪に臨むサッカー男子日本代表が、1次リーグ初戦で対戦するスペインのキーマンをつぶすべく「マタ包囲網」を敷く。26日の大一番を前に、チーム宿舎で分析映像をもとに欧州王者対策を練り上げた。背番号「10」を背負う左利きのFWフアン・マタ(チェルシー)に対して、DF徳永悠平(28)=FC東京=は「あの左足を抑えたい」「戦えない相手だとは思わない」。ニッポンの勝機は、マタ封じにあり−。
「スペインか…」。そう気おされた瞬間、あらゆる可能性は扉を閉じる。相手は2008年欧州選手権、10年ワールドカップ(W杯)、今年の欧州選手権に続く「メジャー大会4連覇」に燃えるV候補筆頭だ。そうであっても、相手が強ければ強いほど燃えるのも競技者としてのさがだ。
「隙はある。戦えない相手だとは思わない。穴? 見た感じ、いろんなところにある。あまり言えないですけど、オレの中では(勝機への道筋は)できている」。オーバーエージの徳永は不敵にそう言い放った。
宿舎でのミーティングで、スペインの長所、短所を編集した分析映像を脳裏に刷り込んだ。対戦相手の映像が自由に見られるリラックスルームでは、活発な「対策論」が交わされ、そこで名前が挙がるのはチェルシーでも背番号「10」を背負うマタだという。昨季は欧州CLを制覇、スペイン代表として欧州選手権の連覇に貢献した左利きのアタッカー。欧州予選でMVPに輝いた3トップの右サイドで出場すれば、左SBの徳永は真っ向勝負に打って出る。
「自由に動いてプレーしてくるので、しっかりつかまる。左足は強烈で怖い武器なので、そこをしっかり抑えたい」。徳永がそう言えば、ボランチのMF山口は「マタが(左サイドから)中に入って受けたときにどれだけボールを取れるか、どれだけ体を寄せられるか」と呼応した。
マタに自由を許せば、ピッチ上に描かれるのは恐らく残酷なコントラスト。しかし、マタを抑えれば少なくとも勝機は上がる。「世界のトップレベルの選手とやれるというだけじゃダメ。そこから点を決めて、打ち勝っていかないと」とは、GK権田の心意気だ。世界を驚がくさせるスペイン撃破は、「マタ封じ」から始まる。
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