FW起用の可能性が高まった闘莉王=トヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(47)が24日、清水とのナビスコ杯準々決勝第1戦(25日・アウスタ)で、DF田中マルクス闘莉王(31)をFWとして起用する可能性を示唆した。この日、トヨタスポーツセンターで行った最終調整で試し、「テストではなく一つのオプションだ」と強調。主力FW陣を軒並み欠く状況で、抜群の得点力を持つ闘莉王に白羽の矢を立てた形だ。
猛暑のなかでの最終調整。いつものように最終ラインに陣取ろうとした闘莉王を、指揮官が止めた。「前にいろ」。そう指示すると、約15分間の戦術練習で、闘莉王は終始センターフォワードの位置でプレー。クロスを得意のヘッドで狙い、足元での的確なポストプレーで味方を生かした。
今季も試合途中で闘莉王を前線に上げることはあった。ただ、あくまでも追いかける展開での窮余の策。試合前の戦術練習できっちり合わせるのは今季初だ。「テストではない。ひとつの可能性、オプションだ。まだ決めたわけではないが、可能性はある」。練習後の会見で意図を問われた指揮官は、そう説明した。
現在、金崎以外の主力FW陣は不在だ。玉田、ケネディは負傷離脱し、永井はロンドン五輪へと旅立った。もちろん先週の実戦練習で主力組に入った巻が先発する可能性もある。ただ、ホーム&アウェーで戦う準々決勝は、勝敗と得失点差が並んだ場合アウェーでの得点数で準決勝進出が決まる。J1通算51得点を誇る闘莉王の起用は、実績では理にかなっている。
「わからないよ。何も聞いてないよ。もしかしてナラさんの代わりをやるかもよ」。闘莉王本人は冗談交じりにはぐらかした。ただ、今季リーグ戦では無得点で、ゴールに飢えている男。「どこのポジションでもがんばるよ」と色気は見せた。
ナビスコ杯はいまだ手にしていない国内タイトル。新たな歴史をつくる意気込みを問われたピクシー監督は、「もちろん。それはたぶん今年だろう」と不敵に笑い、「隼磨以外はベストメンバーだ」と宣言した。ならば、最もゴールの香り漂う男を最前線に据えることは、奇策でもなんでもない。 (宮崎厚志)
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